建設業法が25年ぶりの改正

人員不足でお困りの建設業者様も多い中、令和2年10月に25年ぶりに建設業法の法改正が行われました。
1、背景
この法改正の背景には、労働者不足や現在の労働環境が密接に関係しています。
国土交通省がまとめたデータによりますと、建設産業の技能労働者の4人に一人は60歳以上の高齢者が占めており、その方たちが退職する頃には大規模離職が起こると予想されています。
それに対し、若年層の働き手は約10人に1人とかなり少なくなっています。
この背景には少子高齢化ももちろんですが、他の業界と比べ、労働時間や勤務日数が多いことも理由に挙げられます。しかしこのままだと新たな担い手は育たず、技能の継承も途絶えてしまうことから「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性向上」「持続可能な事業環境の確保」の3つの観点から改正が行われました。
2、今回の建設業法改正ポイント
(1)長時間労働の是正
① 工期に関する基準が作成。違反者に対しては勧告等の措置を実施
② 公共工事の発注者に必要な工期の確保と、施工時期の平準化の努力義務化
(2)現場の処遇改善
③ 下請代金のうち、労務費相当分は、現金払いとするよう配慮
④ 社会保険加入が建設業許可の要件化
(3)現場の生産性向上
⑤ 元請業者が配置する監理技術者を補佐する者として技士補制度を創設
※「技士補」を専任で配置することで複数現場の兼任を容認
⑥ 下請の主任技術者に関し一定未満の工事金額等の要件を満たせば技士補設置不要
※上記⑥対象は、鉄筋工事と型枠工事
・資材に起因した不具合が生じた際、建設資材製造業者に対して改善勧告
(4)持続可能な事業環境の確保
① 建設業許可の「経営業務管理責任者」に関する規制が合理化
② 建設業の譲渡や法人合併、相続等に際し円滑に事業承継できる仕組み
3、改正内容の要約
この法改正では、「通常必要と認められる期間に比して、著しく短い工期による請負契約を締結することを注文者に禁止する」また「閑散期と繁忙期の工事量の差を小さくするために、公共事業における工期の確保や、施行時期の平準化を努力義務とすること」と記されており、
これを要約すると、長時間の労働を強いるような後期の設定は見直し、労働者の生産性をあげられるように取り組みましょう!ということです。
そのため、請負業者に対しても、「工程の細目を明らかにし、工種ごとの作業及び、その準備に必要な日数の見積り」を行うよう求められており、無理な作業日数での請負をなくすようにしています。
この取り組みに故意に違反した場合には、勧告措置などの罰則も設けられています。
さらに建設業の許可要件のうち、「建築業に関し5年以上の経営業務の経験者が役員にいること」を廃止することとしており、今後は後継者の選出が容易になるであろうと期待されています。
まとめ
事業を行いながら、新しい改正法を把握して、許認可や各種手続きを行なうのはなかなか大変なことかと思います。
弊所では、建設業者様をサポートする以下のような手続きの代行・代理を行っております。
ご希望の方は、弊所までお問い合わせください。
★建設業許認可関連
・建設業許可に関する新規申請・更新申請
・建設業許可に関する各種変更届
★外国人材(特定技能・技能実習生)の受入関連
・特定技能 受入機関の登録手続き
・建設キャリアアップシステムの登録
・建設業受入計画の申請
・特定技能ビザ 申請関連
(在留資格の認定取得申請、更新申請等)
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