配偶者ビザ
タイ人と日本人の結婚
- 2024.10.18
近年の国際化に伴い、日本人と外国人との国際結婚が増えています。 国際結婚では、双方の法律や慣習、文化を尊重することも重要になります。 また、中長期のビザを取得し、日本でご夫婦がともに暮らしていくには、まずは婚姻手続きを適切に行なっていく必要があります。 婚姻手続きや、ビザ取得の際には、具体的に必要な書類や手続きは、結婚する双方の国籍によって異なります。 今回は、日本人配偶者ビザの条件の概要と、ビザ申請の前提となる、国際結婚、 特に、日本人とタイ人の国際結婚についてお話します。
外国人と日本人の婚姻に共通する手続き(全ての国の方共通)
外国人と日本人の婚姻が配偶者ビザ申請として認められるためには、以下の3つのポイントを満たす必要があります:
1) 双方が婚姻要件具備者であること
2) 日本と外国人の本国での婚姻手続きが完了していること
3)日本の社会通念上、夫婦として生活していること
それぞれのポイントについて説明します。
双方が婚姻要件具備者であること
双方が18歳以上であることに加え、外国人の方も本国での婚姻可能年齢以上であることが必要です。
また、結婚は、両国の婚姻障害にあたらない(つまり、本国の法律でも合法である)必要があるため、両国の婚姻最低年齢が異なる際には、双方が婚姻最低年齢の高い方にあわせる必要があるケースがありますので、注意をしましょう。
また、結婚前に独身であることも必要です。
一方または双方が過去に離婚や死別がある場合、その状況に関する追加書類が必要になることもあります。
日本と外国人の本国での婚姻手続きが完了していること
日本の役所(区役所・市役所・町役場)での婚姻手続きと、ビザ申請人の本国での婚姻手続きの両方が完了していること。
その方法は2つあります:
◆日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)
日本で挙式・入籍手続きを行い、その後に在日外国大使館へ婚姻届を提出する方法。届出が不要な場合もあります。
必要書類 |
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※外国語の書類は日本語訳が必要です。
※1 両親の氏名・生年月日が確認できる出生証明書、国籍が確認できる国籍証明書(またはパ スポート)、離婚歴がある場合は離婚証明書が必要ですが、国によって必要書類が若干変わる場合が ありますので、詳しくは次項で説明します。
◆外国方式(外国で先に結婚手続きをする方法)
外国で挙式・入籍手続きを行い、日本大使館で婚姻届を提出するか、日本に帰国して区役所で婚姻届を提出します。
婚姻届の手続きは国によって異なりますので、詳しくは次項で説明します。
日本の社会通念上の夫婦として共同生活を営んでいること
日本の社会通念上、夫婦として生活していること。日本人の配偶者等ビザの審査では、書類上の婚姻手続きだけで夫婦関係があると判断されるわけではなく、「実際に日本で夫婦として生活していること」も審査の対象となります。
ポイントとしては、双方が、「同居しているかどうか」と「金銭的な負担(扶養)があるかどうか」が重要です。
日本人の配偶者等ビザの詳しい手順や必要書類については、 こちらの記事をご覧ください。
タイ人と日本人の結婚の注意点
申請資格
日本では婚姻可能な最低年齢は18歳以上ですが、タイでは17歳以上です。両国で婚姻が認められるためには、より高い年齢制限に従う必要があります。
ただし、タイ側が20歳未満の場合は、婚姻には両親の同意も必要です。
また、離婚歴のあるタイ人女性の場合は、離婚日から310日間の再婚禁止期間を遵守する必要があります。ただし、妊娠していないことを証明する診断書があれば、この禁止期間は免除されます。
手続きと必要書類 日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)
①タイ籍の方の婚姻要件具備証明書(独身証明書)を取得
日本の法律では、日本で結婚するすべての外国人は、まず、法的に結婚できる自由があることを宣誓する「婚姻要件具備証明書」を準備することが義務付けられています。
タイの方の場合は、これを在日タイ王国大使館で入手できます。
申請するには、事前にタイ政府から取得しなければならない書類もあります。
この書類の申請には、当事者双方が大使館に行くことの必要があります。
必要書類 |
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タイ人側
日本人側
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※発行後、タイ外務省の認証を受けるが必要です。その認証の有効期限は3ヵ月です
※2日本の外務省認証済みのもの
詳しくは、タイ大使館にお問い合わせください。
②日本の市区町村役場で婚姻の届出
必要書類 |
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タイ人側
日本人側
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婚姻届を提出してから1~2週間後、婚姻の事実が記載された戸籍謄本の申請が可能です。
この戸籍謄本を取得したと、英語に翻訳し、公証人役場で翻訳者の署名認証、及び公証人所属法務局で公証人押印証明を受けた後、日本外務省領事局証明班にて認証を受けることが必要です。
※ただし、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、北海道、宮城県及び福岡県の公証人役場では、申請者からの要請があれば、公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省の公印確認を一度に取得できます。このワンストップサービスをご利用になると法務局や外務省に出向く必要はありません。
日本外務省認証済みの全書類(戸籍謄本含む)をタイ語に翻訳することも必要です。
詳しくは、在日タイ王国大使館のウェブサイトをご覧ください。
③タイに結婚の報告
タイで婚姻手続きを行うには、通常、夫婦のうち一人がタイの郡役所に出向いて手続きを行う必要があります。
しかし、それが難しい場合は、東京のタイ大使館で委任状を作成し、代理で申請することができます。この方法では、以下の書類が必要です。
必要書類 |
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タイ人側
日本人側
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一方、夫婦のどちらかが直接タイの郡役所に出向いて申請し、もう一方がタイに渡航するのが難しい場合は、まずタイ大使館で氏名変更の申請を行い、戸籍謄本の認証を受けることができます。必要書類は、委任状に関する書類を除いて上記と同じです。
手続きと必要書類 タイ方式(タイで先に結婚手続きをする方法)
①在タイ日本大使館で婚姻要件具備証明書と結婚資格宣言書を取得
日本国内で必要書類を準備し、タイへ渡航し、在タイ日本大使館で申請を行う必要があります。
代理申請も可能ですが、証明書を受け取る際には日本人当事者に大使館に来る必要があります。
必要書類 |
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日本人側
タイ人側
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詳しくは、在タイ日本国大使館のウェブサイトをご覧ください。
②タイ国外務省領事局で認証を受ける
在タイ日本大使館で婚姻要件具備証明書と結婚資格宣言書を受け取ったら、タイ語に翻訳し、タイ国外務省領事局国籍認証課に認証してもらいます。
タイ国外務省領事局国籍・認証課 所在地:バンコク都ラクシー区トゥンソンホン町ジェーンワタナ路123番 電話:0-2203-5000 ・ Call Center 0-2572-8442 |
③タイの郡役場での婚姻登録
タイ国外務省認証済みの証明書が発行された後、お二人でタイ国郡役場にて婚姻届をして下さい。地域や役場によって必要書類が異なるので、お届けになる郡役場にご確認下さい。
※届け出る郡役場はタイ人配偶者の住居登録役場でなくともよいようですが、女性の場合は敬称(ミスからミセスへ)の変更のため、又、婚姻後タイ人の方の姓を日本人の方の姓に変更される場合は、後に本人が登録されている郡役場にお届け下さい。
婚姻届が受理されると,「婚姻登録証」が発行されます。
④日本に結婚の報告
婚姻証明書を受け取ったら、3ヶ月以内に日本の市区町村役場に婚姻届を提出する必要があります。
タイにある日本大使館または領事館を通じて届出を行うことも可能ですが、手続きに一か月半から2ヶ月かかる場合があります。そのため、特に今後日本で一緒に暮らしていく予定がある場合は、日本に一時帰国して届出を行うことをお勧めします。
必要書類 |
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タイ人側
日本側
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在タイ日本大使館で登録を行う場合、必要な書類は同じです。
日本方式かタイ方式の結婚手続きのメリット・デメリット
では、日本人とタイ人の国際結婚の場合、どちらの方式を取るのが良いのでしょうか。
結論から言いますと、どちらで手続きしても問題ありません。
どちらの方法にもメリット・デメリットがありますので、個々の事情を考え、選択されるのがよいでしょう。
【日本方式の場合】
メリット
・タイでの手続きをすべて代理申請すれば、日本を離れることなく、両国での婚姻届を済ませることができます。
タイ人が現在日本に居住し、別の在留資格を保有している場合なら、日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)では、親の同意を要する18~20歳のタイ人である等例外的な場合でなければ、婚姻手続きのためにタイに長期間戻る必要はありません。
・日本人の配偶者ビザへの変更申請が、婚姻成立後、すぐにできます。
デメリット
・タイ人は日本での15日間の短期滞在ビザが免除されていますが、日本での婚姻登録に必要なすべての手続きを完了させるには、事前に現地日本公館で「90日の短期滞在ビザ」を取得する必要があります。
【タイ方式の場合】
メリット
・タイ人配偶者が日本に滞在している場合は、書類を揃えやすく、日本への来日の短期滞在ビザを取得する必要がありません。
デメリット
・日本人はタイでの60日間の短期滞在ビザが免除されていますが、タイでの婚姻登録に必要なすべての手続きを完了させるには、より長期のビザの申請が必要になる可能性があります。
これらを踏まえ、一般的なケースでは、
◆タイ人が現在タイに居住している場合で、かつ、日本人がタイに長期間または度々渡航することができる場合や、タイ人が20歳以下である場合には、『タイ方式(先にタイで結婚手続きをする方法)』
◆タイ人が現在日本に居住している場合や、日本人がタイに長期間または度々渡航することができない場合には、『日本方式(先に日本で結婚手続きをする方法)』
が、手続きの手間や、費用面からオススメです。
まとめ
今回はタイ人と日本人の結婚の流れと必要書類について簡単に説明しました。
前述の通り、日本またはタイのどちらで、先に婚姻手続きと登録を行うのが良いかは、は、現在タイ人の配偶者がどこに住んでいるかや、個々のご事情によって異なります。ご自身の状況に合わせてご計画下さい。
結婚の手続きが終わり、更に諸々のビザのポイントを満たすことができましたら、外国人配偶者が「日本人の配偶者等」の申請をすることで、日本で一緒に暮らすことができます。
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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