高度専門職ビザ
高度人材の永住申請
- 2024.05.14
高度人材の方は、永住要件が一部緩和されるのをご存知でしょうか? 高度人材とは、高度な能力を有する外国人を日本へ受け入れることを目的に、平成24年5月7日から導入された制度です! 高度人材のビザを取得すると、多くの優遇措置が受けられます。 その優遇措置の中に、永住要件の緩和があり、今回は、高度人材の方の永住申請について、徹底的に解説します!
高度人材とは
◆そもそも高度人材とは?
「高度専門職ビザ」とは、法務省が定めた基準をクリアした「高度人材」に与えられる在留資格であり、特に評価される専門知識や高い能力を持つ人材を対象としています。
そのため、高度人材ビザと呼ばれたりすることもありますが、「高度専門職」が正しい名称です。
このビザは、在留期間や家族の同伴などの面で優遇され、日本で安定して働き、経済社会の活性化を促進することを目的としています。
法令では、「高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの」と規定しています。
簡単に言うと、「高度専門職は、法務省で定めた一定基準をクリアする人(高度人材)が次のイ・ロ・ハのどれかの職業で働く場合に発行される就労ビザ」ということです。
イ「高度学術研究活動」 大学等の教育機関で教育や指導をする活動や、企業などの研究所で研究をする活動のこと |
ロ「高度専門・技術活動」 自然科学や人文科学などの専門知識または技術を必要とする業務などで働く活動のこと |
ハ「高度経営・管理活動」 会社の経営や管理、弁護士、税理士などの経営、管理をする活動のこと |
◆ポイント制について
ビザを取得するためには、「高度人材ポイント制」があり、学歴や職歴、年収などがポイントとして評価されます。
一定以上(70点もしくは80点以上)のポイントを獲得した人が申請できます。
詳しくは、ポイント計算表をご確認ください。
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001657.pdf
◆優遇措置について
高度専門職ビザを持つと、永住者の資格を早く取得できたり、在留期間が長いなどの優遇があります。また、家族も一緒に暮らせ、他の就労ビザよりも条件が緩和されています。
具体的には…
・永住者の申請が3年で行えます。さらに『ポイントが80点』以上なら1年の在留期間で永住者の資格を申請で きます(他の就労ビザからの申請では永住者を申請できるまで10年の在留期間が必要です)。
・一緒に日本で暮らしている配偶者も働くことができます。さらに他の就労ビザで必要な学歴や職務経験も必要なくなります。
高度人材の方が永住申請するにあたっての法律上の要件
◆高度人材のビザがなくても永住申請は可能?
高度専門職ビザからの永住ビザの特例は、すでに高度専門職ビザをもっているものに限定されませんので、他の異なるビザであっても、ポイント等の要件、その他の永住の要件を満たせば、この特例の適用を受けて、永住が許可される可能性があります。
簡単にいうと、今現在高度専門職のビザでなくても、70ポイント以上であることを3年前と申請時点で、80ポイント以上を1年前と申請時点で保有していれば、永住ビザを申請することができるのです。
◆永住申請の基本的な要件
永住ビザの在留資格を申請するときには、大きく3つの条件が定められています。
これらの条件のすべてにあてはまることが求められます。
1 |
申請者の素行が善良であること |
「素行」とは、普段の生活態度のことです。法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。 |
2 |
独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること |
自分自身(または扶養家族等)で生活費をまかなうことができ、経済的に日本社会の負担にならないということが必要です。ここでいう「技能」とは安定した収入を得るための職業のことで、「資産」とは不動産や預貯金などの財産のことを意味しています。年収や資産の額などの基準は明示されていませんが、扶養する世帯の人数など申請者の状況を総合的に判断されます。 |
3 |
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること |
この条件は下記の4つから成り立っています。 ⚫︎ 日本で生活してきた年数 ⚫︎ 日本の生活で公的な義務を果たしてきたこと ⚫︎ 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること ⚫︎ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと |
◆高度人材の特例とは?
高度人材の方は、要件のうち、日本で生活してきた年数が優遇されます。
永住ビザを取得するには通常、10年以上の日本での滞在が必要ですが、高度な専門知識やスキルを持つ人は、特例として在留年数が「3年」または「1年」に短縮されます。
そのため、高度人材ポイント計算で70点以上〜80点未満の方は、最短で「3年」、
80点以上の方は最短で「1年」で永住ビザを申請できるようになります。
高度人材の方が永住申請するにあたっての必要書類
⚫︎ ポイントが70点以上で3年以上継続して日本に在留している人→3年分
⚫︎ ポイントが80点以上で1年以上継続して日本に在留している人→1年分
① 永住許可申請書 1通 |
② 写真(縦4cm×横3cm)1葉 |
③ 理由書(※1) 1通 |
④ 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票(※2) 1通 |
⑤ 申請人または申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料 1. 会社などに勤務している場合 在職証明書 1通 2. 自営業などである場合(※3) a.確定申告書控えの写し 1通 b.営業許可書の写し(ある場合) 1通 3. その他の場合(※4) 職業に係る説明書(書式自由)およびその立証資料 適宜 |
⑥ 直近(過去3・1年分)の申請人および申請人を扶養する方の所得および納税状況を証明する資料 1. 住民税の納付状況を証明する資料 ア 直近3・1年分の住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)(※5) 各1通 イ 直近3・1年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書など)(※6) 2. 国税の納付状況を確認する資料 源泉所得税および復興特別所得税、申告所得税および復興特別所得税、消費税および地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)(※7) 3. その他 次のいずれかで、所得を証明するもの(※8) a.預貯金通帳の写し 適宜 b.上記 a に準ずるもの 適宜 |
⑦ 申請人および申請人を扶養する方の公的年金および公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料 1. 直近(過去2・1年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料(※9) ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)(※10) イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面(※11) ウ 国民年金保険料領収証書(写し)(※12) 2. 直近(過去2・1年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料(※13) ア 健康保険被保険者証(写し)(※14) イ 国民健康保険被保険者証(写し)(※15) ウ 国民健康保険料(税)納付証明書(※16) エ 国民健康保険料(税)領収証書(写し)(※17) 3. 申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合(※18) ア 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)(※19) イ 社会保険料納入証明書または社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)(※20) |
⑧ 高度専門職ポイント計算表など 1. 高度専門職1号イ、高度専門職1号ロ、高度専門職1号ハに応じ、永住許可申請の時点で計算したもの 1通 2. 高度専門職1号イ、高度専門職1号ロ、高度専門職1号ハに応じ、永住許可申請の3・1年前の 時点で計算したもの(※21) 1通 |
⑨ ポイント計算の各項目に関する証明資料(※22) |
⑩ 申請人または申請人を扶養する方の資産を証明する次のいずれかの資料 1. 預貯金通帳の写し(※8) 適宜 2. 不動産の登記事項証明書(※23) 1通 3. 上記 (1) および (2) に準ずるもの(※23) 適宜 |
⑪ パスポート(旅券)または在留資格証明書(提示)(※24) |
⑫ 申請人の在留カード(提示)(※25) |
⑬ 身分保証に関する資料 1. 身元保証書 1通 2. 身元保証人に係る次の資料 身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証の写しなど) |
⑭ 日本への貢献に係る資料(ある場合のみ) 1. 表彰状、感謝状、叙勲書などの写し 適宜 2. 所属会社、大学、団体などの代表者などが作成した推薦状 適宜 3. その他、各分野において貢献があることに関する資料 適宜 |
⑮ 了解書 1通 |
※1 次の注意事項をご確認ください。
・永住許可を必要とする理由について、自由な形式で書いてください。
・日本語以外で記載する場合は、翻訳文が必要です。
※2 個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないものとしてください。
※3 自営業などの方は、自ら職業などについて立証する必要があります。
※4 申請人も配偶者の方も無職の場合についても、その旨を説明書(書式自由)に記載して提出してください。
※5 次の注意事項をご確認ください。
・お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されるものです。
・1年間の総所得および納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、い ずれか一方でかまいません。
・市区町村の区役所・市役所・役場において、直近3・1年分の証明書が発行されない場合は、発行される最長期間分について提出してください。
・入国後間もない場合や転居などにより、市区町村の区役所・市役所・役場から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にお問い合わせください。
※6 次の注意事項をご確認ください。
・直近3・1年間において、住民税が特別徴収(給与から天引き)されていない期間がある方は、当該期間分について提出してください。
・直近3・1年間のすべての期間において、住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方は、イの資料は不要です。アの資料のみ提出してください。
・Web通帳の画面の写しなど(取引履歴がわかるもの)であっても差し支えありません。ただし、加工などできない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイルなどは不可)。
※7 次の注意事項をご確認ください。
・住所地を管轄する税務署から発行されるものです。税務署の所在地や請求方法など、詳しくは国税庁HPをご確認ください。
・納税証明書(その3)は、証明を受けようとする税目について、証明日現在において未納がないことを証明 するものですので、対象期間の指定は不要です。
・5税目すべてに係る納税証明書を提出してください。
※8 Web通帳の画面の写しなど(取引履歴がわかるもの)であっても差し支えありません。ただし、加工などできない状態で印刷されたものに限ります(Excelファイルなどは不可)。
※9 次の注意事項をご確認ください。
・基礎年金番号が記載されている書類について、当該番号の部分を黒塗りするなど、基礎年金番号を復元できない状態にしたうえで提出してください。
・ア〜ウのうち、国民年金以外の年金(厚生年金など)に加入している方は、アまたはイの資料を提出してください。
・直近2・1年間において国民年金に加入していた期間がある方は、アまたはイの資料に加え、ウの資料も提出してください。
・直近2・1年間のすべての期間において引き続き国民年金に加入している方は、ウの資料を提出してください。直近2・1年間分(24・12ヶ月分)のウの資料を提出することが困難な場合は、その理由を記載した理由書および アまたはイの資料を提出してください。
※10 次の注意事項をご確認ください。
・日本年金機構から封書でねんきん定期便が送付されている方(35、45、59歳の誕生月)は、同封されている書類のうち <目次> において、『○ねんきん定期便(必ず御確認ください)』欄の枠内に記載されているすべての書類を提出してください。
・なお、毎年送付されるハガキ形式のねんきん定期便もありますが、すべての期間が確認できないため提出書類としてはご使用いただけません。
・「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)は、日本年金機構の問い合わせ先にご連絡いただくことにより交付申請を行うことができます(申請から交付までに2ヶ月程度を要します)。
※11 次の注意事項をご確認ください。
・「ねんきんネット」は日本語のみ対応しており、外国語には対応しておりませんのでその旨ご留意ください。
・日本年金機構HPから、ねんきんネットに登録することができます。なお、登録手続きには最大5営業日程度かかる場合があります。
・申請時の直近2・1年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方は、「各月の年金記録」の中にある、「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面もあわせて提出してください。
※12 次の注意事項をご確認ください。
・直近2・1年間において国民年金に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)をすべて提出してください。提出が困難な方は、その理由を記載した理由書を提出してください。
・直近2・1年間のすべての期間において国民年金に加入していた方で、直近2・1年間(24・12ヶ月分)の国民年金保険料領収証書(写し)を提出できる場合は、アまたはイの資料を提出していただく必要はありません。
※13 保険者番号および被保険者等記号・番号が記載されている書類(写し含む)を提出する場合には、これらの番号の部分を黒塗りにするなど、保険者番号および被保険者等記号・暗号を復元できない状態にしたうえでご提出ください。
※14 次の注意事項をご確認ください。
・現在、健康保険に加入している方は提出してください。
・直近2・1年間のすべての期間において引き続き健康保険に加入している方は、イ〜エの資料は不要です。
※15 現在、国民健康保険に加入している方は提出してください。
※16 直近2・1年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は、提出してください。
※17 直近2・1年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)をすべて提出してください。提出が困難な方は、その理由を記載した理由書を提出してください。
※18 健康保険組合管掌の適用事業所であって、アの保険料受領証書(写し)の提供が困難である場合は、日本年金機構が発行するイの社会保険料納入証明書または社会保険料納入確認(申請)書に加え、管轄の健康保険組合が発行する健康保険組合管掌健康保険料の納付状況を証明する書類を提出してください。
※19 申請される方(事業主)が保管されている直近2・1年間のうち事業主である期間における、すべての期間の領収証書(写し)を提出してください。すべての期間について領収証書(写し)が提出できない方は、イを提出してください。
※20 申請書の様式や申請方法などは日本年金機構HPをご参照ください。
※21 永住許可申請の3・1年前の時点でのポイントについては、現在のポイント計算表に基づき計算してください。ただし、⑨のほか、3・1年前の時点の高度専門職ポイント計算表や当該時点でポイント対象とされていた項目が分かるものをあわせて提出し、3・1年前の時点での高度専門職ポイント計算表に基づいて計算することにより当時70・80点以上を有していたことを立証できる場合は、この限りではありません。
※22 次の注意事項をご確認ください。
・ポイントの合計が70・80点以上であることを確認できる資料を提出してください。該当する項目すべての証明資料を提出する必要はありません。
・証明資料の基本例は高度専門職ポイント計算表に記載されています。
※23 登記事項証明書は、法務局HPからオンラインによる交付請求を行うことができます。
※24 パスポート(旅券)または在留資格証明書の提示ができない場合は、その理由を記載した理由書を提出してください。
※25 申請人以外の方が、当該申請人に係る永住許可申請を行う場合には、在留カードの写しを申請人に携帯させて、来庁する方が申請人の在留カードを持参してください。資格外活動許可書の交付を受けている方は、資格外活動許可書も提示してください。
まとめ
高度人材ビザをお持ちでなくても、高度人材ポイント計算で一定の得点があれば、日本に10年以上住んでいなくても、永住ビザの条件をクリアできる可能性があります。
また、高度人材の永住申請では、正確なポイント計算のうえ、適切な時期に永住申請することも重要になってきます。
当事務所では、申請人の状況などを丁寧にヒアリングしながら、親切・丁寧、スピーディーに永住申請をサポートし、専門家だからこそ提供できる安心感と満足を提供しています。
弊所グループは、大阪事務所(阿倍野・天王寺)と東京(渋谷区・恵比寿)を拠点に活動しており、出張相談・オンライン相談もお受けしております。
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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