永住者ビザ
年金の猶予と免除制度について
- 2024.05.15
公的年金への加入は、日本人だけでなく日本で暮らす外国人にとっても「義務」です。 ただし、所得が減少したり失業等の理由により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、年金の支払いが免除や猶予される制度があります。 今回は年金の猶予と免除制度について説明いたします。
年金猶予
年金猶予とは、年金の支払いを一時的に延期する制度です。例えば、健康上や経済的な理由で一時的に年金を支払うことが難しい場合に、猶予を申請することができます。
健康上の理由:重篤な病気や怪我などにより、一時的に働くことができない場合に申請できます。
経済的な理由:生活費などの経済的な困難から、年金の支払いが難しい場合に適用されることがあります。
ただし、年金猶予は一時的な措置であり、あくまで延期した分の支払いが後になって求められることがあります。年金猶予を利用する場合は、将来的な返済計画をしっかりと立てることが大切です。
※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が対象。
年金免除
年金免除とは、一部または全部の年金の支払いを免除される制度です。これは、特定の条件を満たすことによって適用されます。本人から申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。
年金免除の条件には、例えば以下のようなものがあります:
高齢者の場合:高齢による収入減少や生活困難などを理由に、年金の一部または全部が免除されることがあります。
障害者の場合:重度の身体障害や精神障害などにより、一部または全部の年金が免除されることがあります。
年金免除は、年金受給者の状況に応じて異なるため、具体的な条件や詳細はケースバイケースです。多くの場合、証明書や医療診断書などの書類提出が必要です。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
年金猶予と免除は、年金制度をより柔軟に利用するための制度であり、個々の事情に合わせて適用されます。申請や手続きには、公的年金機関や役所に相談することが重要です。
学生納付特例制度
国民年金の被保険対象者は、日本に住む20歳以上のすべての方になりますが、学生の方に向けた「学生納付特例制度」が設けられています。これは申請をすれば在学中の保険料の納付が猶予される制度です。年金事務所、市(区)役所・町村役場の国民年金窓口、場合によっては所属の学校で申請が可能です。
尚、対象者には一定の基準に満たす必要がありますので、詳しくはこちらをご参照ください:
永住ビザ申請への影響
冒頭にも述べたように、外国人を含め、日本に住んでいる人なら公的年金の加入は「義務」になります。
“罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。”
永住申請のガイドラインによると、公的義務について上記の様に定められており、
納付しているだけではなく、適正な時期(納付期限内)に納めていることまで求められています。
しかし、永住ビザの申請を希望されるお客様の中には、年金未加入だった期間や、未払いの期間があることで、断念されたり、申請を延期されるケースが多数おられます。
永住申請時の提出資料としては、「直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料」を求められており、基本的には直近の2年間が確認されます。
そのため、永住ビザを申請する予定がある外国人の方は、お早めに国民年金や厚生年金等の加入状況、年金保険料の支払い状況をまず確認しておく必要があります。
詳しくはこちらをご参照ください。
まとめ
今回は年金の猶予と免除制度についてご説明しました。
日本で暮らす外国人の方は、法的義務の遵守は、どの在留資格においても大切ですが、どうしても支払いが難しい場合、年金の猶予、免除制度、学生納付特例制度を活用することが可能です。
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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