特定活動ビザ
在留資格更新不許可の場合はどうなるか?帰国準備の特定活動ビザって何?
- 2025.01.27

「在留資格の更新(変更)が不許可になりそう!でも、今持っている在留資格はもうすぐ切れてしまう!(または特例期間が終わってしまう!)」という場合、そのままですと、在留期間満了後(または不許可時)から帰国までの間、不法滞在ということになってしまいます。しかし、ここで不法滞在になってしまったり、早急に帰国しなければならなくなるというのは酷でしょう。そこで登場するのが、帰国準備のための特定活動ビザ(30日、31日)になります。では、細かく見ていきましょう。
在留資格の更新や変更が不許可になったとき
在留資格を更新(変更)して、まだまだ日本に滞在しようと思っていたのに不許可になってしまったという場合、どうすればいいのでしょうか。
まだ、日本の学校の卒業まで年数が残っているかもしれませんし、既に就職先を見つけていたかもしれません。そのような場合でも、すぐに帰国しなければならないのでしょうか。
帰国するにしても、これまで日本で生活してきたのですから、家を引き払ったり、荷造りしたり、様々な準備が必要になると思います。どうなるのでしょうか。
在留資格の在留期間に余裕がある場合
まだ在留資格に余裕があるのであれば、再申請が可能です。担当官から不許可事由を説明してもらい、不許可事由をしっかりと改善・修正した上で、在留期限内に申請しなおしましょう。
在留期限が切れている場合、期間がほとんど残っていない場合
在留期限が切れていたり、もうすぐ切れるという場合、「不許可なので即帰国してください!」とは言われず、
「30日(又は31日)以内に帰国するか、異議申立てや取消訴訟をしてください。」
と指示されることになります。
この30日又は31日というのは、帰国準備のための特定活動ビザによって付与される在留期間です。(今回は異議申立て、取消訴訟については省略させて頂きます。)
では、この特定活動ビザというのは一体どうやって申請するのでしょうか。
詳細は後で述べますが、まず前提として、在留期間の足りない人は、特例期間という在留期間の延長制度を使ってビザを更新したり変更したりしています。(自動的に適用されるので別途申請は必要ありません。)
特例期間というのは、
- 許可・不許可時、または、
- 在留期間満了から2ヶ月
のうち早い方の日まで、当初もっていた在留期限から延長して在留することを認められるものなのです。
そのため、在留期間満了から2ヶ月経過する前に、更新等の不許可が決定した①のようなケースでは、特例期間は不許可時に切れてしまいます。したがって、不許可になったらすぐに特定活動ビザに切り替えなければ不法滞在になってしまいます。不許可になってから特定活動ビザを申請し、審査してもらって…というのでは間に合わないのです。
(ちなみに、②の方が早いというケースでは、結果を待たず、出国しなければならないということになりますが、通常、審査機関である出入国在留管理庁は、この特例期間を考慮して、審査結果を2ヶ月以内に交付するように配慮されているようです。)
そこで、今回不許可になった在留資格変更(更新)申請の内容を変更し、「元々、特定活動ビザへの変更申請をしていましたよ」という扱いにした上で、その日のうちに、帰国準備のための特定活動ビザ(30日又は31日)を取得するという流れになります。
具体的には、不許可通知書に「申請どおりの内容では許可できませんが、申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば、別紙の申出書を提出してください」等との記載がありますので、これに沿って進めていくことになります。
帰国準備のための特定活動ビザの種類
この帰国準備のための特定活動ビザには、「30日」と「31日」のものがあります。これらはどう違うのでしょうか?日数にすると、1日しか変わりませんが、30日を超えているかいないか、ここに大きな意味があるのです。
30日と31日の違いの説明に入る前に、その前提として重要になってくる、特例期間について見ていきたいと思います。
特例期間とは
特例期間について、出入国管理庁のウェブサイトでは、以下のように説明されています。
在留カードを所持している方が,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において,当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは,当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は,引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます。
(参照:「特例期間とは?」)
すなわち、「ビザ更新や変更したが、結果が出る前に、今持っている自分のビザが切れてしまう」という場合、結果が出た時か、ビザが切れてから2ヶ月すぎるか、どちらか早い方まで、引き続き、日本に在留できるという制度です。(2か月たっても結果が出ない場合は出国しなければなりませんが、先のご説明でお話しました通り、通常そういったことのないよう審査は早めに行われます。)
なお、特例期間は自動適用されるため、特別な申請は必要ありません。
この制度のおかげで、ビザがもうすぐ切れてしまうというような場合でも、ビザが切れるまでに申請さえできれば、適法に日本に滞在することができます。
とても便利な制度ですが、この特例期間は、31日以上の在留期間のビザを所持する外国人の方のみを対象としています。
31日以上のビザを持っていれば、ビザが切れる前に変更・更新の申請をし、ビザが切れた後も、許可・不許可の決定もしくは最長2か月間は日本に滞在することが可能となります。
帰国準備のための30日の特定活動ビザ
さて、ビザ変更・更新が不許可となり、帰国準備のための特定活動ビザに変更したところ、30日のビザが下りたという場合、原則通り、30日以内に準備をして出国する必要があります。
上記の通り、特例期間制度は31日以上のビザを対象としていますから、30日の特定活動ビザは対象にならないのです。したがって、再度、変更・更新申請に挑戦して、特例期間によって最大2ヶ月滞在を延長するということはできず、再申請はできません。
仮に、再申請をした場合にも、特例期間による延長はありませんので、帰国準備のためのビザの30日を経過して、出国していなければ、不法滞在ということになってしまいます。
そのため、再申請をしても許可される可能性が低い、不許可理由を改善できないようなケース等では、30日の帰国準備のための特定活動ビザが付与されることが多くなっています。
帰国準備のための31日の特定活動ビザ
31日の特定活動ビザを取得できたという場合、不許可事由を確認し、しっかりとこの部分を改善した上で、再申請することが可能です。そして、上記の通り、特例期間によって、再申請から処分時まで、又は2か月が過ぎるまでは、日本に滞在することが可能です 。
審査期間が長引いても、最大2か月は日本にいることができるということです。(ただし、あくまで帰国準備のためのビザですので、以前就労ビザを持っていたからと言って、この間に就労等をしてはいけません。)
また、出入国管理庁としても、再申請すれば望みがあると考えていると推測できます。すなわち、「31日以内に再申請し、特例期間を使って審査を待ってください。」という意図をもって31日の特定活動ビザを付与したと考えることができるでしょう。
なお、出入国在留管理庁は、
在留資格更新許可申請の標準処理期間:2週間~1か月
(参照:「在留資格更新許可申請」)
在留資格変更許可申請の標準処理期間:2週間~1か月
(参照:「在留資格変更許可申請」)
としていますが、あくまで標準の目安ですので、2か月たつ前に、審査状況について、出入国在留管理庁に確認することをお勧めします。
まとめ
在留資格の変更や更新は毎回緊張を伴うものです。そんな中、残念ながら不許可になってしまったという場合でも、直ちに帰国ということにはならず、30日又は31日の準備期間が付与されますので、少しは余裕をもって帰国準備をすることができるでしょう。
また、31日の準備期間が与えられた場合には、再申請ということも考えられますので、悲観しすぎず、しっかりと不許可となった理由を確認し、必要な箇所を改善・修正しましょう。不許可事由を直接担当官に尋ねるチャンスは一度しかありません。その道のプロに事前に相談し、どのような点を確認すべきなのか等、事前に準備しておくことが重要です。
在留資格の更新・変更について不許可の不安がある方、不許可となってしまったが再申請したいという方は、弊所までお気軽にご相談ください。
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まずは、在留資格、ビザのことでお悩みの方がいらっしゃいましたら、些細なことでも結構ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
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この記事の監修者

- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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