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配偶者ビザ

フィリピン人と日本人の結婚

2024.10.04

近年の国際化に伴い、日本人と外国人との国際結婚が増えています。 国際結婚では、双方の法律や慣習、文化を尊重することも重要になります。 また、中長期のビザを取得し、日本でご夫婦がともに暮らしていくには、まずは婚姻手続きを適切に行なっていく必要があります。 婚姻手続きや、ビザ取得の際には、具体的に必要な書類や手続きは、結婚する双方の国籍によって異なります。 今回は、日本人配偶者ビザの条件の概要と、ビザ申請の前提となる、国際結婚、 特に、日本人の国際結婚のうち、決して少なくない割合を占める日本人とフィリピン人の国際結婚についてお話します。

外国人と日本人の婚姻に共通する手続き(全ての国の方共通)


外国人と日本人の婚姻が配偶者ビザ申請として認められるためには、以下の3つのポイントを満たす必要があります:


1) 双方が婚姻要件具備者であること
2) 日本と外国人の本国での婚姻手続きが完了していること
3)日本の社会通念上、夫婦として生活していること

それぞれのポイントについて説明します。

双方が婚姻要件具備者であること

双方が18歳以上であることに加え、外国人の方も本国での婚姻可能年齢以上であることが必要です。


また、結婚は、両国の婚姻障害にあたらない(つまり、本国の法律でも合法である)必要があるため、両国の婚姻最低年齢が異なる際には、双方が婚姻最低年齢の高い方にあわせる必要があるケースがありますので、注意をしましょう。
また、結婚前に独身であることも必要です。


一方または双方が過去に離婚や死別がある場合、その状況に関する追加書類が必要になることもあります。

 

日本と外国人の本国での婚姻手続きが完了していること

日本の役所(区役所・市役所・町役場)での婚姻手続きと、ビザ申請人の本国での婚姻手続きの両方が完了していること。
その方法は2つあります:


日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)
日本で挙式・入籍手続きを行い、その後に在日外国大使館へ婚姻届を提出する方法。届出が不要な場合もあります。


必要書類
  • 婚姻届(証人2人が必要)
  • 日本の戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合)
  • 婚姻要件具備証明書(独身証明書)
  • その他外国人のための書類・パスポート等※1


※外国語の書類は日本語訳が必要です。
※1 両親の氏名・生年月日が確認できる出生証明書、国籍が確認できる国籍証明書(またはパ スポート)、離婚歴がある場合は離婚証明書が必要ですが、国によって必要書類が若干変わる場合が ありますので、詳しくは次項で説明します。


外国方式(外国で先に結婚手続きをする方法)
外国で挙式・入籍手続きを行い、日本大使館で婚姻届を提出するか、日本に帰国して区役所で婚姻届を提出します。
婚姻届の手続きは国によって異なりますので、詳しくは次項で説明します。

日本の社会通念上の夫婦として共同生活を営んでいること

日本の社会通念上、夫婦として生活していること。日本人の配偶者等ビザの審査では、書類上の婚姻手続きだけで夫婦関係があると判断されるわけではなく、「実際に日本で夫婦として生活していること」も審査の対象となります。
ポイントとしては、双方が、「同居しているかどうか」と「金銭的な負担(扶養)があるかどうか」が重要です。


日本人の配偶者等ビザの詳しい手順や必要書類については、 こちらの記事をご覧ください。


フィリピン人と日本人の結婚の注意点


申請資格


日本では親の同意なしで結婚できる最低年齢は18歳ですが、フィリピンでは25歳です。


フィリピン人も親の同意ありで、結婚できる最低年齢は18歳です。


そのため、フィリピン人が18歳から20歳の場合の結婚は、フィリピンの公証役場で公証し、外務省にて認証を受けた 親の「同意書」、21歳から25歳の場合は親の「承認書」がそれぞれ必要となります。


手続きと必要書類 日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)

① フィリピン籍の方の婚姻要件具備証明書(独身証明書)を取得


日本の法律では、日本で結婚するすべての外国人は、まず、法的に結婚できる自由があることを宣誓する「婚姻要件具備証明書」を準備することが義務付けられています。


フィリピンの方の場合は、これを在日フィリピン大使館で入手できます。


申請するには、事前にフィリピン政府から取得しなければならない書類もあります。


必要書類
  • 記入済み申請用紙
  • パスポート 原本と写し1部
  • 在留カードまたは日本での在留資格がわかるもの 原本提示+データページのコピー1部
  • パスポート用サイズの証明写真 3枚
  • 出生証明書※ (外務省認証済みのもの)原本と写し1部
  • 独身証明書※(CENOMAR)(外務省認証済みのもの)原本と写し1部

18歳から25歳の初婚フィリピン国籍者の方の追加書類:

  • 18歳以上20歳以下の場合 – 両親の同意書※1(公証役場の公証及び外務省認証済みのもの)
  • 21歳以上25歳以下の場合 – 両親の承諾書※1(公証役場の公証及び外務省認証済みのもの)  


※フィリピン外務省認証済みフィリピン統計局発行のものが必要です


※1両親がフィリピンに居住している場合:両親の同意書・承諾書はフィリピン国内の公証役場で公証し、フィリピン外務省にて認証します
両親が日本に居住している場合:フィリピン大使館に作成します
両親が亡くなった場合:フィリピン外務省認証済みフィリピン統計局発行の死亡証明書


※2フィリピン人が離婚している場合、または婚姻無効、あるいは死別した場合、フィリピン外務省によって認証された証明書類が必要です


詳しくは、在日フィリピン大使館のウェブサイトをご覧ください。


②日本の市区町村役場で婚姻の届出


必要書類
  • 婚姻届(証人2名必要)

フィリピン人側

  • 上記①で取得した 婚姻要件具備証明書(独身証明書) ・日本語訳が必要
  • フィリピン外務省認証済みフィリピン統計局発行した出生証明書
  • パスポート
  • 在留カード

日本人側

  • 戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合のみ必要です。)
  • 本人確認書類(運転免許証など)印鑑


※必要書類は役所によって若干異なる場合がありますので、事前に確認のため、お出かけに予定している役所に問い合わせてください


③在日フィリピン大使館で婚姻を報告します


必要書類
  • 記入済み婚姻届出書
  • 双方のパスポート 原本と写し4部
  • 上記②取得した 婚姻届の届書記載事項証明書 原本と写し4部
  • 日本の戸籍謄本(婚姻事項が記載されているもの) 原本と写し4部
  • 双方のパスポート用サイズの証明写真 4枚
  • 返信用封筒レターパック プラス
  • 申請費用


※日本国での婚姻後1年を経過してフィリピン政府へ婚姻届を提出する場合は 遅延届宣誓供述書 も必要です


窓口で申請する場合は、本人と配偶者の両方がフィリピン大使館に来る必要があります。予約が必要です。


郵送での申請も可能ですが、大使館にメールで確認した上で、申請書類を日本の公証役場で公証してもらう必要があります。


状況によっては、追加書類が必要になる場合があります。


詳しくは、在日フィリピン大使館のウェブサイトをご覧ください。


手続きと必要書類 フィリピン方式(フィリピンで先に結婚手続きをする方法)


①日本人側が日本の法務局で、婚姻要件具備証明書を取得


必要書類(東京法務局・大阪法務局の場合)
  • 戸籍謄本または抄本
  • 印鑑
  • 運転免許証などの身分証明書
  • 証明書交付申請書(窓口に備え付けられています)


※ 申請日から100日以内に転籍等をしている女性の場合は、転籍等の前の戸籍謄本も必要です。また、申請者が未成年者の場合は、父母の同意書が必要です。


※ 婚姻要件具備証明書には、お客様から提出された証明書交付申請書の記載に基づき、婚姻する相手方の氏名・性別・生年月日・国籍を記載することになっています。相手方の氏名は、原則としてカタカナで記載します。


※本人のみによる申請で、代理人による申請及び受領はできません。


※証明書の受取は、申請日の翌日以降となる場合があります。


②フィリピンで結婚許可証を取得する


フィリピンに渡航し、フィリピン人の居住地の市区町村役場でマリッジライセンス(婚姻許可証)を申請します。


場所によって、この申請に必要書類が異なる場合がありますが、一般的には、以下のものが必要です。


必要書類
  • 双方の身分証明書類 パスポート、フィリピンの身分証など
  • 上記①取得した 日本人側の婚姻要件具備証明書
  • フィリピン人側 フィリピン統計局発行の独身証明書(CENOMAR)
  • 夫婦のどちらかが過去に結婚していたが、離婚、婚姻無効、または死別した場合は、それを証明する書類 


フィリピンの結婚許可証の有効期限は発行日から120日です。


詳細については、フィリピン側の本籍地を管轄する市町村役場にお問い合わせください。


③結婚式を挙げて婚姻証明書の謄本を受け取る


婚姻は、婚姻許可証の有効期限内(発行後120日以内)に挙式する必要があります。


フィリピン法により婚姻を挙行する権限を認められた者(神父や裁判官など)の前で婚姻を挙行し、それに立ち会う成人証人2名が必要です。婚姻の宣誓の後、当事者と証人が署名し、婚姻を執り行った担当者が婚姻証明書に認証します。


その後、結婚式を挙げた場所を管轄する市役所に婚姻証明書を持参し、地元の市民登録官に結婚を登録してもらう必要があります。また、婚姻証明書の謄本も取得できます。


④日本に結婚を届出します


婚姻証明書を受け取ったら、3ヶ月以内に日本の市区町村役場に婚姻届を提出する必要があります。


フィリピンにある日本大使館または領事館を通じて届出を行うことも可能ですが、手続きに2ヶ月ほどかかる場合があります。そのため、特に今後日本で一緒に暮らしていく予定がある場合は、日本に一時帰国して届出を行うことをお勧めします。


必要書類
  • 婚姻届
  • 上記③で取得した 結婚証明書の謄本 と 日本語訳

フィリピン人側

  • パスポート
  • フィリピン外務省認証済みフィリピン統計局発行の出生証明書 と日本語訳

日本側

  • 本人確認書類(免許証やパスポートなど)
  • 戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合のみ必要です)


日本方式かフィリピン方式の結婚手続きのメリット・デメリット


では、日本人とフィリピン人の国際結婚の場合、どちらの方式を取るのが良いのでしょうか。


結論から言いますと、どちらで手続きしても問題ありません。


どちらの方法にもメリット・デメリットがありますので、個々の事情を考え、選択されるのがよいでしょう。


【日本方式の場合】


メリット


・手続きが、スムーズでシンプル。


 フィリピン人が現在日本に居住し、別の在留資格を保有している場合なら、日本方式(日本で先に結婚手続きをする方法)では、親の同意を要する18~25歳のフィリピン人である等例外的な場合でなければ、婚姻手続きのためにフィリピンに長期間戻る必要はありません。


また、婚姻手続きにかかるステップも少なく、費用と手間が軽減されます


・日本人の配偶者ビザへの変更申請が、婚姻成立後、すぐにできます。


デメリット


・短期滞在で一時来日をして手続きする場合、事前に現地日本公館で「90日の短期滞在ビザ」を取得する必要があります。


【フィリピン方式の場合】


メリット


・フィリピン人配偶者が滞在している場合は、書類を揃えやすく、日本への来日の短期滞在ビザを取得する必要がありません。


デメリット


・フィリピンで先に結婚する場合は、結婚許可書を取得した後に、フィリピンで方式にのっとった挙式を行わなければなりません。日本人が、フィリピンにまとまった期間滞在するか、何度か渡航をする必要があります。


これらを踏まえ、一般的なケースでは、


フィリピン人が現在フィリピンに居住している場合で、かつ、日本人がフィリピンに長期間または度々渡航することができる場合や、フィリピン人が25歳以下である場合には、『フィリピン方式(先にフィリピンで結婚手続きをする方法)』


フィリピン人が現在日本に居住している場合や、日本人がフィリピンに長期間または度々渡航することができない場合には、『日本方式(先に日本で結婚手続きをする方法)』


が、手続きの手間や、費用面からオススメです。


まとめ


今回はフィリピン人と日本人の結婚の流れと必要書類について簡単に説明しました。


前述の通り、日本またはフィリピンのどちらで、先に婚姻手続きと登録を行うのが良いかは、は、現在フィリピン人の配偶者がどこに住んでいるかや、個々のご事情によって異なります。ご自身の状況に合わせてご計画下さい。


結婚の手続きが終わり、更に諸々のビザのポイントを満たすことができましたら、外国人配偶者が「日本人の配偶者等」の申請をすることで、日本で一緒に暮らすことができます。
配偶者ビザ申請のサポートや国際結婚に関するご質問はお気軽にご相談ください。


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この記事の監修者

柳本 良太
柳本 良太
行政書士・司法書士
行政書士法人やなぎグループ代表社員。
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。

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