日本での在留
被相続人が外国籍の場合の相続について(韓国版)
- 2024.05.14
相続については、被相続人(亡くなった方)が日本国籍の場合は日本の法律が適用されます。 国際私法に関する事例については「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)により準拠法を定める必要があります。
◆原則は被相続人の本籍のある国の法律を適用 法の適用に関する通則法(以下「通則法」といいます)第36条では「相続は、被相続人の本国法による」旨規定しており、被相続人が外国籍であれば、本籍のある国の法律に基づいて相続手続をすることになります。
◆地域によって法律が異なる国の場合(例:アメリカの各州)
地域によって法律が異なる国については、「その国の規則に従い指定される法(中略)を当事者の本国法とする」とし、「そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法」を当事者の本国法とする旨規定しています。被相続人の国籍がアメリカである場合、条文に規定する「その国の規則に従い指定される法」はないのが通説で、「当事者に最も密接な関係がある地域」(密接関係地)を決めなければなりません。つまり、密接関係地となる州の法律が本国法となります。密接関係地は出身地や住所などを参考に決定します。
◆国籍が複数ある場合 (例:ヨーロッパ諸国の一部、ロシア、フィリピン、オーストラリア等)
日本では認められていませんが、被相続人が外国人の場合、2つ以上の国籍を持っていることがあります。国により、多重国籍を認める国や条件付きで容認する国があります。 通則法では、当事者に2つ以上の国籍がある場合について「その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする」旨規定しています。 日本の国籍がない場合は、「その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする」旨規定しています
◆本国法の規定で日本法に従う場合(例:アメリカ・イギリス・中国等における不動産について)
通則法第41条では「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」と定められています。 アメリカ、イギリス、中国などでは、現預金や有価証券など動産の相続は被相続人の本国の法律に従うこととされている一方、不動産の相続はその所在する国の法律に従うこととされています。
たとえば、被相続人の国籍が中国である場合は、日本にある不動産については日本の法律に基づいて相続することになります。 いずれもの場合も専門的な判断になりますので、国際的な相続等を得意とする専門家に相談されるのが良いでしょう。
今回は、韓国籍の方の相続について見ていきましょう!
韓国の法定相続人の範囲 比較!
韓国民法と日本民法との主な相違点!
★配偶者の相続分は直系卑属(又は直系尊属)の相続分の5割加算となります。
・配偶者がいる場合には、兄弟姉妹や4親等以内の傍系血族(叔父・叔母・従兄妹)には相続権はありません。
・子が相続人の場合 子が被相続人より先に死亡している場合(代襲相続が発生しているとき)は、その子の配偶者も代襲相続人になります。日本の場合は孫のみに代襲相続されます。
・すべての子が相続放棄したときには、その相続順位は「孫」に移ります。日本の場合は被相続人の「親」に相続順位が移ります。
・子及び子の配偶者のすべてが死亡している場合 孫は代襲相続人の立場ではなく、第一順位直系卑属である相続人になりますので相続分の計算に注意が必要です。 代襲相続が発生する(被代襲相続人となる場合)は「直系卑属」「兄弟姉妹」のみになります。
遺言をするメリット
法定相続または遺産分割協議による場合は、被相続人については出生にさかのぼる戸籍が必要となりますが、遺言を作成してあれば、原則として被相続人が死亡した事実を証する証明書(又は戸籍)と相続人であることの証明書で手続を進めることが可能です。 (但し、金融機関によっては遺言があっても被相続人の出生にさかのぼる戸籍を要求される場合がありますので注意が必要です。)
韓国籍の方が、日本の遺言を作成できるのか?
韓国の国際私法の第7章相続では次のことを定めています。
第49条
1.相続は死亡当時の被相続人の本国法による。
2.被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは、相続は第1項の規定にかかわらず、その法による。 指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。
ただし、その指定は被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限りその効力がある。 不動産に関する相続に対してはその不動産の所在地法
つまり、韓国の方も日本の方式(法律)で遺言することができるのですが、遺言を作成した被相続人が死亡時まで日本に常居所を維持した場合に限られます。
韓国の相続法の改正にも注意する必要があります。
被相続人の亡くなった日によって、以下の4つが適用されることとなります。
・1991年1月1日以降~現在まで:現行民法
・1979年1月1日以降~1990年12月31日まで:旧民法
・1960年1月1日以降~1978年12月31日まで:旧々民法
・1912年4月1日以降~1959年12月31日まで:韓国の従来からの慣習
遺言がない場合の法定相続分には、日本と韓国では違いがあります。
韓国籍の方が帰化して日本国籍を取得すれば日本の法律により相続手続きがおこなわれますので、相続人の範囲が変わり相続人によっては相続分が増えることもあります。
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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