就労ビザ
日本の専門学校を卒業したけど、技人国(ギジンコク)取れますか?
- 2025.03.21

今日では、益々の国際化に伴い、外国人労働者が増えてきています。令和5年6月時点では在留外国人は約322万人で、過去最高を記録しています。その中でも技術・人文・国際業務(技人国:ギジンコク)を取得している外国人労働者は約35万人です。 ここでは、ギジンコクVISAとは何なのか?どんな職種に就くことができるのか?と、専門学校卒でも取得できるのか?という点に焦点を当てて解説していきます。
技術・人文・国際業務(ギジンコク)とは何か?
ギジンコクとは何か?
ギジンコクVISAは外国人が働くことを目的として発行される在留資格の一つで
外国人労働者が保有している専門的な知識や技術を日本へ還元することが目的の、自然科学や人文科学などの専門知識や、外国の文化についての知識が必要な業務をおこなうための在留資格です。
「技術・人文知識・国在業務」は名称が長いので、通称で「技人国(ギジンコク)」ビザと呼ばれています。
特定技能のような人手不足を解消することを目的とした在留資格ではありません。
ギジンコクで認められる業務
では、具体的にどのような職種が該当するのか見ていきましょう。
外国人がこれまで学んできた知識や、培ってきた経験母国の文化や言語に関する知識と関連性があるホワイトカラーの業種となります。下記、一例となります。
技術
機械工学の技術者、システムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティーの技術者、など
人文知識
企画、営業、経理、人事、法務、総務、コンサルティング、広報、マーケティング、商品開発、など
国際業務
通訳、翻訳、デザイナー、貿易、語学学校などの語学講師、通訳が主業務のホテルマン、など
日本の専門学校卒でもギジンコクはとれるのか?
日本の専門学校卒でもギジンコク取得できる!
結論から言いますと、専門学校卒でもギジンコク取得可能です!
但し、専門学校は大学に比べ、習得科目が少ないので大卒よりは厳しい状況にはないます。ここでのポイントは、専攻分野と仕事内容が直結していることです。
例を表にしてみましたので、ご自身の専門分野とどの様な職種が直結しているのかご確認下さい。
(海外の専門学校卒に関しては後ほど解説いたします。)
専攻 |
業務内容 |
ビジネス系 |
営業、マーケティング、業務管理など |
観光・ホテル系 |
旅行実務、ホテルのフロント業務など |
翻訳・通訳・語学系 |
文書翻訳、通訳、現地企業との連絡調整 |
簿記・会計系 |
経理、財務、経営企画など |
写真・グラフィックデザイン系 |
広告企画制作、画像処理、動画編集など |
インテリアデザイン系 |
店舗、事務所のインテリアデザインなど |
スポーツビジネス系 |
法人営業、マーケティング、企画など |
ウェブデザイン系 |
ウェブサイト、サービスの企画、制作 |
情報・IT系 |
システムやソフト開発、プログラミング |
機械系 |
エンジニア、開発、研究 |
自動車整備 |
自動車整備、自動車販売など |
建築・建設・設計系 |
CADを用いた設計、施工管理 |
電子工学系 |
電子回路設計、開発 |
専門学校卒業でもギジンコクを取るのに不利に働く場合
履修科目の半数以上が日本語の場合
これから専門学校を選び、将来的にギジンコクをとって日本で働きたい!という方の注意点として、専門学校と言っても、履修科目に半分以上日本語の授業が組み込まれている学校もあります。一見、問題のない内容にも思えますが、厳しく審査され、就労ビザの審査はかなり厳しくなります。
実際、過去の例で「日本語、ビジネスマナーなどの科目は、専門科目とは認めていません。ただし通訳者養成のための日本語教育は除きます」と指摘された事例もあります。
在学中のアルバイトに関して (週28時間を大幅に超えた場合)
現在、ギジンコクビザの申請時には、前年度の住民税課税証明書(所得が記載される)の提出が必要となっています。この書類を見れば、前年にどれくらいアルバイトをしていたのか分かります。
専門学校在学中に週28時間(長期休暇期間は1日8時間)を超えてアルバイトをしていた場合「資格外活動違反」という法律違反になります。
明らかな資格外活動違反をしていた場合、ギジンコクVISAが許可されないケースも増えています。
専門学校の成績は重要か
ギジンコクVISAを申請の際、専門学校の成績証明書を提出します。出入国管理局の審査官は履修科目と成績をみます。成績証明書に仕事内容と関連する科目が多ければ申請は有利になります。
成績に関しては、平均より上を取っていれば問題ありません。
一方で、最低評価が多かったり、仕事内容との関連性が薄ければ不利になります。
学校の出席率は影響するか
専門学校では出席証明書というものがあります。出席率が悪いと審査官への心証が悪くなります。出席率が著しく悪い場合には、学校側から警告が与えられ、改善がみられない場合は退学処分になることもありえます。
退学処分となると、学校側から入国管理局にも通知されます。この場合、「在留不良」となるので、就労ビザへ切り替えることはできません。
一度帰国してから、一年程度の期間を経て、改めて入国することとなります。
海外の専門学校卒はギジンコクはとれないのか?
原則、海外の専門学校を卒業していても、ギジンコクVISAの学歴要件はみたしません。
この場合、実務経験を満たすかがポイントとなってきます。
日本で、従事しようとする業務内容について、10年以上の実務経験があればビザ取得の可能性はあります。
外国人が日本の企業で働く際の注意点
給与水準が日本人と同等かそれ以上(同一労働同一賃金)
外国人であっても同じ職種であれば、日本人と同等・それ以上の給与が支払われなくてはなりません。
一例:-
Aさん:日本語が話せない・職業経験なし
Bさん:日本語が話せる・職業経験あり
◆ AさんとBさんは同じ仕事内容を行う ⇒ 賃金に差があってはならない
◆ AさんとBさんは違う仕事内容を行う ⇒ 賃金に差があってもよい
又、厚生労働省の「同一労働同一賃金のガイドライン」では、労働実態に違いがあり得ることを認めたうえで、以下のように労働実態の違いによる賃金の差も認めています。
「基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。」
企業の経営が良好か
受け入れ企業の経営状態が安定しているかも、審査対象となります。
適切な労働時間、給与、継続して運営していける企業であるのかが審査基準となります。
ギジンコク申請前の行動が素行不良に該当しないか
在留資格の取得・更新・変更などの手続きをする場合には、資格の種類に関係なく「素行が善良であること」が条件に含まれています。この条件を満たすには、以下の項目(素行不良)に該当していないことが必要です。
- 各種税金の未納
- 犯罪を犯し、懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある
- 少年法による保護処分が継続中
- 暴力団と関係性がある
まとめ
一定条件はあるものの、日本の専門学校を卒業すると、技術・人文・国際業務VISAを取得することが可能です。ここでのポイントは、専攻分野と仕事内容が直結していることです!出入国管理局がどのようなポイントで審査をしているか、専門家は熟知しておりますので、ご不安であれば、お気軽にご連絡頂ければと思います。
又、これから専門学校入学予定、在学中の方は、成績、出席率、素行もギジンコク取得の際に審査されることを念頭において、充実した学生生活を送って下さい。
弊所グループは、大阪事務所(阿倍野・天王寺)と東京事務所(渋谷区・恵比寿)を拠点に活動しており、出張相談・オンライン相談もお受けしております。
永住許可申請、帰化許可申請、就労ビザ申請、留学ビザ申請、経営・管理ビザ申請など入管(出入国管理局)への手続きとそれに伴う起業にかかる様々な手続き、在留資格に関わるビザ更新の手続き等をワンストップ行っております。日本語でのご相談にご不安の方は、ベトナム・ネパール・中国・バングラデシュ・英語圏等様々な各国通訳者が在籍しておりますので、ご安心してご相談下さい。
まずは、在留資格、ビザのことでお悩みの方がいらっしゃいましたら、些細なことでも結構ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
参照先:
厚生労働省「入国前結核スクリーニングの実施について Japan Pre-Entry Tuberculosis Screening(JPETS)」
法務省「入国前結核スクリーニングの実施に関するガイドライン」
出入国管理庁「【重要】入国前結核スクリーニングの開始予定について(フィリピン、ネパール及びベトナムの国籍を有する方)」
技人国 専門
技人国条件
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/3398
外国人賃金、税金
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/2397
例外
この記事の監修者

- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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