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帰化申請

中国人の日本国籍取得【帰化】

2024.05.13

帰化とは、外国人が日本で日本国籍を取得することを指します。  帰化することで、日本名への変更や戸籍の取得、社会保障の権利や参政権など、日本人と同じ権利を取得できます。また、帰化するには住所を管轄する法務局または地方法務局へ必要書類の提出および法務大臣の許可が必要です。  今回は、中国国籍の方の『帰化』申請に必要な書類や注意点をご紹介させていただきます。

まず、「帰化」するということは日本の国民になることですので、「日本にとって国益にかなう人間であるかどうか」が見られます。したがって、申請人の経歴、資産、家族構成、社会的責任・義務の履行状況等の状況を隅々まで審査される覚悟が必要で、膨大な資料を提出しなければなりません。

 

帰化申請の注意点

(共通要件)まず帰化できるかどうかをチェックしましょう!

居住要件

・来日5年、仕事3年以上

・日本人と結婚している中国人なら結婚3年以上&来日1年以上

 

【注意点】

・転職があり、且つ空白期間(無職)が存在する場合、その空白期間は「仕事3年」に含まない。

・海外渡航に日数が年間150日、若しくは一度の出国が90日を超える場合は問題あり。
・日本人と結婚する場合は婚姻の信憑性が厳しく見られます。

生計要件

・安定した仕事で、貯金もある程度有すること。

・経営者の場合は、個人所得と会社の経営状況の両方が安定性を有すること。

※帰化は年々厳しくなる傾向があり、目安としては、一人世帯300万円以上/年間が望ましいです。

 

 

【注意点】

・実態のない節税目的で扶養人数複数人いる場合は問題になる。

・ローン等、多少の負債や借金があっても、生活に影響しない程度の場合は大丈夫です。

 

素行要件

・運転免許を持っている中国人は、過去の交通違反を審査されます

・日本だけでなく中国国内の法律違反も関係します

・年金、健康保険、税金の支払い漏れは問題になります

 

【注意点】

・日本に親族がいて、その親族が法律違反、義務違反がある場合は、申請人にも悪影響を与える可能性が高い。

(違反でなくても、例えば親族が生活保護等、日本社会に負担を与える時は、マイナスに捉えられる)

・近年流行りの電子キックボードの法改正のより気軽に乗れるようになりましたが、取締も強い傾向にあります。ご利用する場合は交通違反にならないように気を付けてください

「電子キックボード記事」

日本語能力

・小学校3年生レベルの読み書きができる必要があります

・帰化申請したい理由や経緯、帰化後の計画等聞かれますので、「片言しか話せない」というのは問題になります

 

 

中国人の帰化申請の必要書類

※お客様の状況や管轄法務局により、提出する書類や記載要領は異なる場合があります。

 

 

(1) 帰化許可申請書(写真貼付)

※申請書に貼る顔写真(縦5㎝×横5㎝)  2葉

※写真は、申請前6ヶ月以内に撮影された単身、無帽、正面上半身なもの。 

※写真は、15 歳未満の場合には、法定代理人(両親など)と一緒に撮影したもの。

 

  • 親族の概要を記載した書面

 

(3) 履歴書

※履歴書のうち、立証資料が必要なものがあります。

例)学生の場合は:在学証明書/最終卒業証明書または卒業証書の写し

例)スキルの記載がある場合は:資格を証する証書等の書面資料

例)自動車運転免許証をお持ちの場合は:その表、裏面の写し

 

(4) 帰化の動機書

※手書きで書く必要があります。

 

(5) 宣誓書

 

(6) 国籍・身分関係を証する書類

① 国籍証明書(現名称 領事証明書)

② 出生公証書

③ 結婚公証書

④ 離婚公証書

⑤ 親族関係公証書

⑥ その他公証書

※詳しくは3-1~3-4をご参考ください

 

(7) 国籍喪失等の証明書

 

  • 出入国記録

※日本上陸から現在に至るまでの出入国歴が記載されたもの。

 パスポート情報等から正確に出入国歴を記載します。

 渡航先の国も記載します。

 ここで出国日数が多いと、審査に影響します。

(有効期限切れのパスポートの記録含む)

 

(9) 住民票の写し等

 ※申請者、同居者や配偶者等、全員が記載されるもの。

 

  • 生計の概要を記載した書面

該当するものをご提出する必要があります。

① 在勤及び給与証明

② 預貯金現在高証明書・預貯金通帳の写し

③ 賃貸契約書の写し

④ 土地・建物登記事項証明書

⑤配偶者等生計を同じくする親族がいる場合は、その支出関係を示すもの。

⑥世帯の異なる親族に経済的に支援を受けている場合は、その支出関係を示すもの。

※詳しくは3-3をご参考ください

 

※これらの資料をもとに、日本で充分に生計を維持できるかどうか等が、審査に影響します。

 

 

(11) 事業の概要を記載した書面

① 会社など法人の登記事項証明書

② 営業許可書・免許書類の写し

 

(12) 納税証明書等

<被雇用者の場合>

① 源泉徴収票)

② 都道府県・市区町村民税の納税証明書、課税証明書または非課税証明書

 <個人事業主等の場合>

① 源泉徴収票

② 確定申告書(決算報告書を含む)

③ 所得税の納税証明書

④ 事業税の納税証明書

⑤ 消費税の納税証明書

⑥ 都道府県・市区町村民税の納税証明書、課税証明書または非課税証明書

⑦ 納付書の写し

<法人役員・経営者等>

① 確定申告書

② 決算報告書

③ 法人税の納税証明書

④ 法人事業税の納税証明書

⑤ 消費税の納税証明書

⑥ 法人都道府県民税の納税証明書

⑦ 法人市区町村民税の納税証明書

⑧ 源泉徴収簿の写し(申請者部分)及び納付書

 

(13) 公的年金保険料の納付証明書(直近1年分)

※以下のいずれかを提出します。

① ねんきん定期便

② 年金保険料の領収書などの写し

※年金滞納等があると、法的義務の履行をしていないとして、審査に影響します。

 

(14) 運転記録に関する書面

※以下のいずれかを提出します。

① 運転記録証明書(過去5年間)

② 運転免許経歴証明書(失効や取り消されたことがある人)

※違反がある場合には、十分な説明を要しますので、専門家に相談しましょう。

 

  • 自宅・勤務先・事業所付近の略図

※〇〇から〇〇までの所要時間等を記載します。

これらの資料を基に、法務局の審査官により、自宅や勤務先の訪問調査等が行われます。

 

(16) その他

 

中国人の帰化申請の注意点

 

領事証明(旧 国籍証明書)について

~領主証明(中国の国籍証明書)の特徴~

・2021年により「領事証明」に名称変更

・中国大使館で申請可能

 

申請を提出する段階で国籍喪失手続きを行う必要がありません。一般的には、審査が完了する直前のタイミングで法務局の担当官から指示が入り、在日の中国領事館で取得する流れになります。

出生・親族関係・結婚その他公証書について

※中国語文書には必ず訳文が必要です。「公証処」で発行する公文書に関しては、発行時日本語訳を依頼することが可能です。

※公証書関係は昔は、日本の華僑総会を通じて取得することが出来ましたが、2021年7月以降廃止となりました。

【出生証明】

帰化許可申請者ご本人の出生公証書を取得します。

帰化申請者に一人っ子の場合は「独生子」である旨を必ず記載してもらうようにしてください。

また、生まれる国によって取得場所が異なります。

 

『日本生まれの方』:

出生届けを提出した市区町村役場で出生届の記載事項証明書を取得します。

 

『中国生まれの方』:

中国の公証処で取得します。

 

【親族関係公証書】

帰化申請者のご親族(両親・兄弟・子)の記載があるものを取得します。

 

『日本生まれの方』:

2021年7月以降、華僑総会の代理申請廃止により、日本で取得はできません。

中国に戸籍がある方は、中国側の公証処にて取得可能ですが、
それでも何等かの事情で取得出来ない場合は、提出先に相談する必要がありますので、一度弊社へご相談ください。

 

『中国生まれの方』:

中国の公証処で取得します。

 

【結婚公証書】

 

『大使館婚の方(中国人同士が在日大使館で結婚)』:

在日中国大使館で取得します。

 

『日本方式で結婚の方(中国・日本人の結婚が、先に日本で婚姻届を提出して結婚した場合)』:

日本にある中国大使館で取得します。

 

『中国方式で結婚の方(中国・日本人の結婚が、先に中国で婚姻届を提出して結婚した場合)』:

中国の公証処で取得します。

 

【離婚公証書及びその他公証書】

 

申請人の状況に応じ、中国の公証処で取得します。

 

出入国記録について

日本上陸から現在に至るまでの出入国歴が記載されたものが必要です。

(有効期限切れのパスポートの記録含む)

 

※中国側の出入国履歴は「WECHAT⇨个人主页⇨城市服务⇨公安办证⇨出入境记录查询」から調べることが出来ます。

 

 

 

日本語能力について

帰化では、一般的に、小学校3年生レベルの日本語能力が必要です。

日本語能力試験では、N3「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルが必要だと言われています。

そして、その能力の有無は、受付から面接、書類の動機書等至るところでチェックされています。また、法務局の担当官の判断により、ペーパー試験を行われることがあります。

 

日本語能力試験の合格証明書があったり、大卒以上であれば、ペーパー試験を行われることはあまり多くはありません。

しかし、漢字圏である中国の方は、日本語能力試験等では、良い成績をおさめやすいことから、N3レベルの合格証明書があっても、試験を実施されるケースが多いようです。

 

帰化後の中国渡航について

帰化申請前の長期の帰国や、申請期間中の長期出国が好ましくないことは、他の国籍の方と同じです。

その他、帰化許可後の注意点として、日本国籍を取得した場合には、言うまでもなく、「日本人」となりますので、日本のパスポートを取得し、使用することになります。

日本のパスポートは多くの国で、査証免除がされていますが、現在、中国に渡航するには、査証(ビザ)を取得する必要があります。

中国籍であった頃のようには帰国することができませんので、ご注意ください。 

 

 

最後に

 中国人が帰化申請するには、必ずしも帰国する必要がなく、中国側にいる親族に依頼して公証書やその他書類を集めることも可能で、一部の国籍の外国人に比べて比較的に進みやすい傾向があります。

 ただし、それでも帰化申請は国籍を変更するという手続きということもあり、提出資料が100枚を超えるケースが非常に多く、審査期間も8ヶ月から18ヶ月ほどと非常に時間がかかります。「法務局に何を事前相談したらいいのか…」、「申請資料の一部が出せなくて、どういう資料で代用できるのか…」等、お一人ですべて完結しようとしたら思っていたりよりも大変です。

 中国人の帰化申請に関してもっと知りたい、ご自身が要件を満たしているか不安な方、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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弊所グループは、大阪事務所(阿倍野・天王寺)と東京事務所(渋谷区・恵比寿)を拠点に活動しており、出張相談・オンライン相談もお受けしております。

 

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※ネパール語・ベンガル語でのご相談希望者の方は、事前にお問合せフォームやSNSを通じてその旨お知らせ下さい。こちらから通訳者より、お電話させて頂きます。

この記事の監修者

柳本 良太
柳本 良太
行政書士・司法書士
行政書士法人やなぎグループ代表社員。
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。

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