日本での在留
離婚による税金は?後編
- 2024.05.15
前回は「離婚にまつわる税金で多い相談Q&A」と「財産分与と税金」についてご紹介しました。今回は後編として離婚前の居住用不動産贈与に関わる税金と不動産分与者への課税、離婚に関わる不動産と税金についてご紹介します。
離婚前の居住用不動産贈与と税金について
居住用の不動産を配偶者に対して贈与する際については配偶者控除があります。そのため、離婚を前に居住用不動産を贈与して贈与税の申告しておくと、贈与税も譲渡所得税も課せられずに済むことがあります。この配偶者控除制度の適用がされるのは婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用の不動産を贈与した場合となります。
その内容は、課税価格から暦年課税の基礎控除110万円を含めて2,110万円の配偶者控除を認めるものとなっています。課税価格については相続税の評価基準にしたがって、土地については路線価格、建物については固定資産税評価額を基準にします。
離婚直前となり離婚を前提として贈与をおこなった場合には、実質的に離婚給付とみなして配偶者控除の適用はないと判断される可能性があるので注意が必要となります。離婚給付を受ける者は、財産分与や慰謝料であっても所得税は課されることはありません。また、過度に高額なものでない限り贈与税も課せられることはありません。ただし、不動産を取得した場合には不動産取得税、その所有権移転登記については登録免許税が必要となります。不動産取得税や登記をおこなう際の登録免許税は不動産の取得原因にかかわりなく課せられる税金となります。
不動産分与者への課税について
1離婚による財産分与として不動産(土地・建物)の所有権を移転することがあります。この際、分与者について譲渡所得税の対象になります。所得税基本通達33-1の4は「財産分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、分与をした時において時価により当該資産を譲渡したこととなる。」と定められており、財産分与が譲渡所得の対象となることが明確になっています。
2譲渡所得の計算については、分与時の時価(譲渡金額)から当該資産の取得費と譲渡費用の合計を差し引いた金額となります。購入時よりも不動産が値下がりしていれば課税されることはありません。分与時の時価が購入した時よりも値上がりしている場合であっても分与者の居住用に供している土地建物を住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日までに分与するときについては、譲渡所得から最高3000万円までの特別控除(租税特別措置法35条1項)適用の余地があります。
3ただし、この特別控除では、「配偶者その他その個人と特別な関係がある者」に対する譲渡については適用されません。離婚を先に成立をさせてから、配偶者でなくなった後の2年以内(民法768条2項)に財産分与をおこなうのが好ましいです。そのため、この特別控除の適用を受けるためには、協議離婚については公正証書、調停離婚については調停調書、「離婚成立を条件に、離婚にともなう財産分与として当該不動産を譲渡する。」などの記載をする工夫が必要でしょう。
まとめ
今回は、離婚による税金について前編と後編の二度に渡ってご紹介させて頂きました。離婚に関わる税金については不動産の評価額や様々な状況によって税金の有無が変わってきます。離婚に関わる法律や税金などでお困りになる方は多くいらっしゃるかと思います。このような場合には先ず専門家に相談してみることをおすすめします。
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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