高度専門職ビザ
高度人材と永住の違い
- 2024.06.28
近年、日本の労働市場は急速に変化しており、高度人材の需要が増加しています。国際的な人材が日本でのキャリアを築くための選択肢として、「高度人材ビザ」と「永住権」というものが、二大選択肢としてあります。 日本での生活やキャリアを長期的に考えている方々にとって、どちらの道を選ぶのがよいのか、本記事では、高度人材ビザと永住権の相違点をわかりやすく解説し、皆様が自分に最適な選択をするための情報提供を致します。
永住とは
永住ビザは、日本に長期間滞在し続けたいと考える外国人の方々にとって非常に魅力的なビザです。永住ビザを取得すると、日本での滞在に期限がなくなり、ビザの更新手続きや在留資格変更の煩雑さから解放されます。
さらに、就労の制限もなくなり、基本的には自由に職業を選ぶことができます。
他の多くのビザとは異なり、永住ビザは、他の在留資格で引き続き日本に在留し、一定の条件を満たして初めて取得できるビザです。
具体的な在留期間やその他の条件は、申請者の現在の在留資格によって異なります。
例
– 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)からの変更
過去10年以上引き続き日本に在留し、過去5年以上日本で就労していること。
※その他要件あり
– 配偶者ビザからの変更(日本人の配偶者等/永住者)
結婚して3年以上経過し、引き続き1年以上日本に在留していること。など。
※その他要件あり。配偶者ビザを保有していなくても、配偶者の実態が、あれば適用可能です。
より詳細な情報や要件については、こちらをご覧ください。
高度専門職ビザとは
高度専門職ビザは、法務省令で定める基準をクリアし、特に評価される専門的知識又は高度な能力を有する者が取得できる在留資格です。
このビザは、資格や活動内容によって3つのカテゴリーに分けられます:
◆ イ「高度学術研究活動」
大学等の教育機関で教育や指導をする活動や、企業などの研究所で研究をする活動のことで、副業として関連するビジネスを自分で経営したり、別の会社でも同時に研究なども行えます。
◆ ロ「高度専門・技術活動」
自然科学や人文科学などの専門知識または技術を必要とする業務などで働く活動のことで、関連するビジネスを自分で経営することもできます。
◆ ハ「高度経営・管理活動」
会社の経営や管理、弁護士、税理士などの経営、管理をする活動のことで、その会社とは別に自分のビジネスを経営することもできます。
申請手続きの際、3つのカテゴリーに対するそれぞれの資格は計算表を用いて評価され、点数が割り当てられる。
70点に到達するとビザの資格が認められ、80点に達するとさらに優遇条件が付与されます。
高度専門職1号の方は、他の就労ビザと比較して様々な優遇措置を受けることができます。
例えば、滞在期間が長くなったり、配偶者の活動制限が緩和されたりします。
さらに、このビザで3年間日本に滞在した後、「高度専門職2号」に変更することも可能です。このビザでは、滞在期間が無期限になり、転職も自由にでき、許可される活動の制限もさらに少なくなります。
より詳細な情報や要件については、こちらをご覧ください。
各ビザのメリットについて
高度専門職ビザを保持している方々には、永住権の取得手続きが通常より簡略化され、3年または1年の滞在期間で永住権を取得することが可能です。そのような背景から、永住権を目指す方々の中には、最初に「高度専門職ビザ」を申請する人々が少なくありません。
永住ビザを選ぶメリット
滞在期間が無制限
永住ビザは、日本で、無制限に生活する権利を与えますが、高度専門職でそれを実現するには、高度専門職2号を取得しなければなりません。
高度専門職1号ビザの有効期限は5年です。そして、高度専門職1号ビザの3年を経過した時点でその他用件を満たすことができて、はじめて「高度専門職2号」に移行することが可能です。
上記の理由から、即座に『永住する権利を取得すること』が目的なら、永住ビザを選択することがより適切だと言えるでしょう。
許可される活動が無制限
永住者は基本就労制限がないため、ほぼすべての職種に就くことが可能です。
一方、高度専門職ビザの場合は、仕事に関連した業務であればある程度の自由が与えられますが(例えば、副業を追加手続きなしでできるなど)、主な活動機関はビザ取得時に指定された所属機関にしか就労が認められていませんので、転職の際は再度高度専門職の認定を受け直さなければなりません。
高度専門職ビザ2号を持つ場合、転職しても再度ビザの認定を受ける必要はありませんが、「所属機関変更の届出」を提出する必要があります。また仕事を辞めて、その状態のまま6か月以上経過してしまうと、高度専門職2号の取り消し対象になります。
日本での活動の自由度が高く、転職も自由ということであれば、永住ビザの方が良いでしょう。
配偶者等のフルタイム就労
永住権を取得した場合、外国人配偶者や子どもは、永住者の配偶者等のビザ(在留資格)への変更が可能となります。永住者の配偶者等のビザ(在留資格)には就労制限がないため、永住者と同じように自由に働くことができます。
また、永住者の配偶者等のビザを取得すると、最短で1年後に永住権の申請が可能となります。生まれてくる子どもに関しては、出生後30日以内に永住権の申請を入管に提出すれば、子どもも永住権を取得することができます。
配偶者・子供を日本で一緒に暮らしたい、どんな仕事にも就けるようにしたいという方は、永住ビザを選択した方がよいでしょう。
高度専門職ビザを選ぶメリット
ここまでは、永住ビザの方が良いことばかりに見えるかもしれませんが、永住ビザにはない、『高度専門職』ならではのメリットがあります。高度専門職ビザのメリットを解説します。
外国籍家事使用人の雇用
外国籍の家事使用人を雇用することができるビザは数少なく、永住権が持ったとしてもできない、高度専門職ならではの‘‘特権‘‘です。
来日前後問わず、用件を満たせば帯同して家事使用人を雇用することも、来日後に家事使用人を雇用することも認められています。
また、収入要件はありますが、家事使用人を最大2人雇用できる場合があります。
外国人家事労働者を雇用したい場合は、高度専門職ビザの方が有利と言えるでしょう。
*家事労働者の雇用については、以前の記事をご参照ください。
両親を呼び寄せる
高度専門職ビザは自らの両親(または配偶者の両親)を日本に招聘し、共に居住することが可能です。
一定の要件や制約は存在しますが、これは日本に両親を招くための一つの手段であり、おそらく最も容易な方法でしょう。
親を日本に招いて長期的に滞在させたい場合には、「高度専門職ビザ」が最適と言えるでしょう。
* 高度人材の親帯同に関する詳しい情報は、こちらをご参照ください。
永住ビザ | 高度専門職1号 | 高度専門職2号 | |
---|---|---|---|
滞在期間 | 無期限 | 高度専門職1号は5年 (更新は可能) | 無期限 |
許可される活動 | ほぼすべての活動 転職は自由 | 副業等は関連する活動のみ (範囲外は個別許可必要) 転職後、在留資格再認定する必要がある。 | 転職後、所属機関に関する届出が必要 |
配偶者・子供のフルタイム就労 | ほぼすべてのフルタイム就労が可能 | 「家族滞在」ビザ取得する場合: 資格外活動許可獲得後、週28時間以内の非フルタイム 「特定活動」ビザを取得する場合: フルタイムでの就労が可能 (就労できる業務制限あり) | 「家族滞在」ビザ取得する場合: 資格外活動許可獲得後、週28時間以内の非フルタイム 「特定活動」ビザを取得する場合: フルタイムでの就労が可能 (就労できる業務制限あり) |
外国籍家事使用人の雇用 | 不可 | 条件付きで雇用可能 | 条件付きで雇用可能 |
両親を呼び寄せる(中長期在留資格) | 不可 | 条件付きで親の日本への呼び寄せ可能 | 条件付きで親の日本への呼び寄せ可能 |
まとめ
今回は、永住権と高度専門職ビザのそれぞれのメリットについて説明しました。
申請者様の価値観によって利点・欠点の判断が異なりますので、「絶対〇〇のビザがいい」とお勧めることは難しいです。
お客様にとってどういう目的を優先的に実現したいのが、
この2つのビザの選択においてもっとも重要な要因であるとと言えるでしょう。
ご自身の状況に合わせてご計画ください。
弊所グループは、大阪事務所(阿倍野・天王寺)と東京(渋谷区・恵比寿)を拠点に活動しており、出張相談・オンライン相談もお受けしております。
永住許可申請、帰化許可申請、就労ビザ申請、留学ビザ申請、経営・管理ビザ申請など入管(出入国管理局)への手続きとそれに伴う起業にかかる様々な手続き、在留資格に関わるビザ更新の手続き等をワンストップ行っております。日本語でのご相談にご不安の方は、各国通訳者が在籍しておりますので、ご安心してご相談下さい。
まずは、在留資格、ビザのことでお悩みの方がいらっしゃいましたら、些細なことでも結構ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
フリーダイヤル:0120-138-552
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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