就労ビザ
企業内転勤
- 2024.03.27
“海外にある子会社から日本の本社に3年間転勤で来る外国人がいるが、何の在留資格になるのか?”
“海外にある本社から、日本支社に転勤させたい従業員がいるが、学士号を持っていないが、在留資格はとれるか?”
上記のようなケースに当てはまる場合には、「企業内転勤」という在留資格を取得することになります。
本コラムでは、企業内転勤について、詳しく解説致します!
企業内転勤ビザとは?
企業内転勤ビザとは、簡単に言うと、多国籍企業の従業員が日本に来て、就労し、生活するためのビザです。
- ①海外にある外資系企業の本店から日本の子会社や支店・駐在事務所へ
- ②海外にある子会社や支店から日本の本店へ
- ③海外から日本の関連会社(関連会社とは、会社間で資本関係があることを必要とします)へ
転勤・出向・赴任等をする外国人が、ITエンジニアや貿易業務などの「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する仕事に従事する場合に、取得できるビザとなります。
*海外の工場での作業員等の、いわゆる単純労働者は、企業内転勤のビザは取得できません。
企業内転勤のビザの要件
それでは、どういった場合に、この企業内転勤ビザが取得できるのでしょうか。
- ☑直近1年以上、呼び寄せる日本の企業等(海外企業の駐在事務所を含む)の海外の本店・支店・関連会社で「技術・人文知識・国際業務ビザ」にあてはまる仕事をしていたこと。
- ☑「技術・人文知識・国際業務ビザ」に当てはまる仕事をすること
- (業務例:ITエンジニア、機械や土木建築の設計者、会計業務、マーケティング業務、貿易業務、通訳・翻訳者、語学学校の先生 等)
- ☑会社(日本の法人もしくは海外の法人、又はその両方)と契約を結ぶこと
- ☑外国から期間を定めて転勤してくること
- ☑海外の会社と日本の会社との資本関係に基づく関連性を立証できること
- ☑会社の経営状態に問題がないこと
- ☑日本人と同様の給与水準であること
- ☑前科があるなど素行が不良でないこと
なお、この直近1年間の業務経験については、「企業内転勤」で日本にいた期間も含まれます。例えば外国で1年間同業務に勤務後、企業内転勤で日本に1年間従事、外国で半年間従事の場合は在留資格「企業内転勤」に求められる1年間以上の継続従事要件に含まれることになります。
企業内転勤ビザのメリット・デメリット(技術・人文知識・国際業務ビザとの比較)
企業内転勤ビザで従事できる職務内容は、技術・人文知識・国際業務ビザと同じですが、技術・人文知識・国際業務ビザと比較して、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【デメリット】
① 企業内転勤では、転職した場合、在留資格更新等はできない。
企業内転勤ビザはその名の通り、外国人が勤務先の多国籍企業の日本支社や関連会社等に転勤・出向などにより日本に赴任し、就労するためのビザです。
したがって、このビザの保有者は、新しいビザに切り替えない限り、他の会社で仕事を見つけることはできません。
一方、技術・人文知識・国際業務ビザの場合は、離職後14日以内に入国管理局に届け出れば、在留資格を継続することができます。
ただし、離職後3か月以内に「技術・人文知識・国際業務」で認められた業務内容の仕事に再就職する必要があります。
② 在留期間は、転勤・赴任期間に限定される。
企業内転勤ビザでは、転勤・赴任期間が事前に定められた上での申請となりますので、最長でも、転勤予定期間の在留期間までの範囲となります。
技術・人文知識・国際業務ビザと同様に、在留期間が、契約期間や所属機関となる企業等の規模や安定性などによって、出入国在留管理局が総合的な審査を行った上で決定される点では同様ですが、技術・人文知識・国際業務ビザでは、期限内に、その該当職務に従事する場合には、更新すれば無期限に継続できますので、必ず、赴任・転勤等の期間の範囲内でしか在留期間が認められないことは異なる点と言えるでしょう。
もっと、企業内転勤においても、転勤期間が延長になった場合等には、在留期間の更新も可能ですので、ご安心ください。
③ 海外会社と日本会社の資本関係を明らかにする資料を提出しなければならない。
例えば、出資者名簿や、定款、日本の会社との取引を証明できる書類、会社設立経緯に関する説明書、貸借対照表・損益計算書等を指します。
多国籍企業などでは、この資本関係を証明するには、膨大な量の書類を要する場合がありますので、書類を集めるのが煩雑になる等手間が増えることがあります。
技術・人文知識・国際業務ビザでは、日本で働く会社のカテゴリーに併せた企業の提出書類を提出するだけで足り、こういった海外会社と日本会社の資本関係等を証明する資料を提出する必要はありません。
④ 給与支払いを海外会社が行う場合には、在留資格更新の際の書類もやや煩雑になる。
給与の支払いが海外会社になる場合には、本人が二重課税にならないよう税額控除等の対応をする必要があることや、在留資格更新の際に必要となる本人の収入証明や、公的な納税証明書等の海外側の書類やその翻訳が必要となります。
【メリット】
① 技術・人文知識・国際業務ビザで求められる“大卒等の学歴または10年以上の実務経験”が必要ではない。
技術・人文知識・国際業務ビザでは、大卒または同等の学歴または、関連分野での10年間の実務経験が必要ですが、企業内転勤ビザでは、学歴がなくても、前述のその他の要件(1年以上の海外の所属会社での技術・人文知識・国際業務に関する業務経験等)を満たせば、ビザが取得できます。
そのため、“学歴や実務経験は足りないが、海外で雇用した従業員に日本で活躍してほしい。”といった場合に、有用です。
② 海外での給与支払いを維持したまま(*給与額は日本人と同等以上にする必要があります)、転勤し、在留資格・ビザを取得することができる。
③ 駐在事務所(日本での法人としての登記がない)での就労であっても、ビザが取得できる。
※ただし、駐在事務所では、市場調査や広報宣伝、仕入、取引先との商談等に限り、売上の発生する営業活動はできないため、ビザの申請書類も慎重に対応する必要があります。
項目 | 企業内転勤ビザ | 技術・人文知識・国際業務ビザ |
---|---|---|
期限 | あり | 期限内に更新すれば無期限 |
転職 | 不可 | 可能 |
要件 | 技術・人文知識・国際業務に関する業務で、海外の当該会社で1年以上在職していることが必要 | 大卒または同等の学歴、または関連分野での10年の実務経験が必要 |
給与の支払い先(雇用主) | 海外企業・日本企業 どちらでも可能 両方が給与を負担することも可能 | 日本法人・企業 給与の支払いも原則日本企業から行う |
働く事業所 | 駐在事務所でも可能 (会社としての登記などがなくても可能) ※ただし、売上の発生する営業活動は不可 | 日本法人でなければならない |
まとめ
今回は企業内転勤ビザについてご紹介しました。
企業内転勤ビザは、大卒等の学歴がなくても申請できる特殊なビザです。
もし企業内転勤のビザが申請できなくても、「技術・人文知識・国際業務」のビザで来日することができるケースもあります。
企業内転勤のメリット・デメリットを踏まえて、企業様や、日本で働く人の特質を踏まえて、総合的に最もよい方法をご提案させていただきますので、企業内転勤ビザでの来日をお考えの方は、お気軽に無料相談をご利用ください!
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この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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