日本での在留
自転車のながらスマホ・酒気帯び運転の厳罰化とビザの影響
- 2025.01.16
2024年11月1日の道路交通法改正により、自転車の「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」が刑罰化となり、懲役や罰金が発生することになりました。 日本滞在の外国人が事故を起こしてしまうと、VISAの更新ができず帰国する可能性があり、永住ビザがとれない、帰化申請ができないなど大きな問題に発展してしまいます。 ここでは、どのような罰則があるのか、外国人のビザや帰化の影響について解説していきます。
改正道路交通法で何が変わるか
自転車の「ながらスマホ」罰則
「ながら」運転とは、スマートフォン等を操作,通話しながらの運転です。
イヤホン使用の運転が刑罰化かどうかは自治体によって異なります。
又、自転車が停止している時は罰則にはなりません。
では、2024年11月以降どのように変わったのか、説明いたします。
(旧) 5万円以下の罰金
(新)⇒6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金
自転車運転中の「ながらスマホ」で交通事故などを起こした場合
⇒1年以下の懲役または30万円以下の罰金
自転車の「酒気帯び」走行の罰則
*これまでも「酒酔い運転」は罰則の対象でしたが、今回の改正で,酩酊状態ではないけれど,体内のアルコール値が一定の基準値を超えている場合「酒気帯び運転」となり,処罰の対象となります。また,自転車の飲酒運転をさせ行為も禁止されることになりました。
*罰則として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 新たに禁止されること
- 酒気を帯びている状態で自転車を運転すること。
- 自転車の運転をする者に飲酒を提供すること。
- 自転車の飲酒運転をする可能性がある者に自転車を提供すること。
- 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼、同乗すること。
- 酒気帯び運転罰則
⇒3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金 - 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に種類を提供すること。
⇒自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - 自転車の飲酒運転をする可能性がある者に自転車を提供すること。
⇒酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 - 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗すること。
⇒同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
違反すると、ビザの申請、更新、変更時に不利益に働く可能性があるため、自転車の安全運転の徹底をしましょう!
違反した場合の「自転車運転者講習」の受講
これまで交通の危険を生じさせる可能性のある違反行為(危険行為)を繰りかえす者に対しては「自転車運転者運転者交通」の受講が義務付けられていたことに加え、「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」に関しても、今回の改正道路交通法により、同講習の対象となる「危険行為」に追加されました。
これらの違反行為を3年以内に2回以上検挙された場合には、都道府県公安委員会は、3か月以内に期間を定めて、自転車運転者講習を自転車講習の受講が命じられます。
命令を無視し、自転車運転者講習を受けなかった場合は5万円以下の罰金が科されます。
外国人のビザや帰化への影響
ビザの更新,変更が不許可、ビザ取消になるリスクも
外国人の場合、交通違反は『在留資格』の問題に大きく関わってきます。
では、どのような場合に影響があるのか?という点ですが、
罪状や刑罰によりそのおこりうる影響は様々です。
例えば、以下のような事態になる可能性があります。
この中のビザの更新や変更は,
「法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可される」と入管法で抽象的な条件が記されており、具体的に,どんなときに許可・不許可とするかは,法務省の公表している、「在留資格の変更、在留期間の変更許可のガイドライン」には、下記のとおり記載されています。
1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4 素行が不良でないこと
5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6 雇用・労働条件が適正であること
7 納税義務を履行していること
8 入管法に定める届出等の義務を履行していること
この、「素行が不良でないこと」に注意し、VISA更新の際に不利にならない様に一層の注意が必要です。
また、こういった交通違反であっても、略式起訴されて「罰金刑以上を受けた場合」には、在留資格の変更や更新時に、在留資格申請書の
「申請書(申請人等作成用1)」の内、項番15において、「犯罪歴 有り」と記載し、具体的な内容を記載しなければならないという点に注意が必要です。
こういった事実を書かないまま 在留資格申請を行うと、不正の手段(不利益な事実を隠して)で在留の許可を受けたことが発覚して取消されたケースがあります。
なお、交通違反では、他に「駐車違反・スピード違反等」の際に渡される青キップのの行政罰というものがあります。
この交通違反の反則金等の行政罰はここに記載する必要はありません。
とはいえ、外国人の方にとって、行政罰なのか、刑罰なのかのの判断は非常に困難です。そのため、入管としては軽微な交通違反(*青色切符で反則金を支払ったもの)などでも、全て書くのが望ましいとしています。
記載すべきことを記載しないのは審査上マイナスとなるため、青切符などの軽微な交通違反でも、全て申し出て、申請人が自身で判断をして在留取消・強制送還等のリスクを追うのではなく、審査で見てもらった方がよいとの見解です。
なお、通常の交通違反以外の不起訴処分の場合も、書かない(書かなくてもよい)です。
これも理由は同じで、罰金刑以上は書く(書かなくてならない)ためです。
※ただし、不起訴処分(嫌疑不十分ではなく、起訴猶予の場合)であっても、行政罰(青色切符)であっても、後述する永住ビザや、帰化では影響がありえますので、注意をしましょう。
永住ビザが取れなくなる・帰化できなくなる
罰金や懲役などの刑事罰をうけてしまうと、永住ビザの取得が困難になります。
又、日本国籍を取得する「帰化申請」についても不許可になる可能性が高くなります。
2026年に自転車事故も*青色切符の対象となったことはご存じでしょうか?
帰化申請の場合、1年に1枚までであろうと言われております。
特に直近2年は、かなり厳しい取り扱いとなります。
青色切符の詳細はこちらのページをご確認下さい。
自転車での*青色切符とは:
・青切符:軽い違反に交付され、6点未満の点数違反となる。 刑事上の責任は、反則金を支払うことで責任を問われることがない。
まとめ
交通ルールと一言で言っても悪質な違反や軽微な違反があります。交通ルールを守ることは義務ですが、2026年から青色切符の対象となりますので、今から一層注意をし、乗車して下さい。
自転車は気軽に乗れますが、スピードも出ますので、一歩間違えれば死亡事故等の大きな事故にもつながってしまいます。
加害者にも被害者にもならないよう、交通ルールを守り、
細心の注意をして、乗車するようにしましょう。
弊社グループは大阪事務所(阿倍野・天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿)を拠点に活動しており、出張相談・オンライン相談もお受けしておりま経験豊富な行政書士の専門家による、それぞれの状況に合わせたサポートを提供しております。
ご不明点ございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。
https://immigration-lawyer.co.jp/visa/family/
この記事の監修者
- 柳本 良太
- 行政書士・司法書士
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。
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