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日本での在留

外国人が日本で不動産を持つ手順と注意点

2024.05.14

外国人が日本の不動産を手に入れるためには、どんな手続きが必要なのでしょうか? 今回は、外国人が日本の不動産を購入する際の方法や流れについて紹介します

外国人でも不動産をもてるのか?

外国人であっても、日本人と同じように、日本国内の不動産を購入することは可能です。

海外では外国人が国内の不動産を購入する場合、様々な規制が敷かれていて、外国人名義では購入できない国もありますが、日本では可能です。取得税や固定資産税といった税金も日本人と同じように課税されます。

また、日本に永住権を持たない外国人、どのようなビザで日本に来日しているかも関係なく、日本の不動産は購入可能となっています。しかし、不動産を購入したからといって、日本の永住権が与えられるわけではなく、ピザの種類も変更されることはありません。

購入の流れ

外国人が日本国内の不動産を購入する時の流れは、日本人の場合とほとんど変わりません

外国人が日本の不動産を購入する流れは、一般的には以下になります。

  1. ① 物件を探す
  2. ② (購入決定の場合)買付け証明書を提出する
  3. ③ 購入資金の確認
  4. ④ 重要事項の説明を受ける
  5. ⑤ 所有権の登記
  6. ⑥ 不動産物件の引き渡し
  7. ⑦ 不動産を購入する時の支払い方法
  8. ⑧ 財務大臣に報告する

それぞれの手順について、説明していきましょう。

①物件を探す

実際に購入したい不動産を探していきます。

その際、不動産会社に地道にあたって探す方法や、インターネットで物件を検索する方法があります。

インターネットで検索を行うのは時間と手間もかかりませんが、特に購入する場合にはインターネットに記載されていない物件を取り扱っていることもありますので、そういった場合には不動産会社と直接のつながりをもつのもお勧めです。

②(購入決定の場合)買付け証明書を提出する

買付証明書は仲介業者(不動産会社)の担当者と物件を内覧し、気にいった物件だったら、売り主または仲介業者宛てに提出する書類です。買付申込書、買受証明書、購入申込書などと名称が違っていることもありますが、効果は同じです。私は「この物件が気にいったので、この金額で買います」という購入の意思を仲介業者や売り主に伝えるものです。

③購入資金の確認

購入したい物件が決まったら、購入資金を用意します。

日本人の場合は住宅ローンを利用するのが一般的になっています。銀行等に直接行って申し込んでも構わないのですが、不動産業者を通して申し込むことも可能です。

外国人で住宅ローンが利用できるのは、ほとんどの金融機関が永住権を取得している人を対象としています。永住権が無い人は、現金で支払うことも多いですので注意して下さい。

詳細については外国人の住宅ローンについてのブログをご覧ください。

「外国人の保険について」(過去のコラム参照)

支払い方法が決定し、住宅ローンの仮審査が通ったら、いよいよ次は売買契約となりますが、その際に不動産の代金の一部を手付金として支払う必要があります。

それと、不動産業者に仲介手数料の一部を支払わなければならない他、契約書に貼る印紙の費用も準備します。

頭金無しで、全てを住宅ローンで支払う予定の人でも、手付金は現金で支払わなければならない場合がほとんどです。手付金の金額は、基本的に幾らでも構いませんが、不動産業者によっては基準を設けていたり、売主の要望がある場合がありますので、確認するようにしてください。

仲介手数料は、契約の時点では一部を支払うのが一般的です。
残りは、不動産物件の引き渡しの時で大丈夫です。

印紙代の金額は、不動産の購入代金によって異なりますので、これも確認してください。

その他に、不動産を購入したら不動産登記しなければなりませんので、司法書士への依頼料が必要(過去ブログをご覧ください)な他、住宅ローンを利用した場合の保証料、火災保険などの費用も必要になり、このような諸費用を合計すると、不動産購入代金のおよそ10%程度になる場合が多いです。

④重要事項説明書

重要事項説明書とは不動産会社が買主の方へお渡しする書類です

重要事項証明書には、売買費用の支払い方法に関することや、不動産の権利、法的制限などについて記載されている他、万が一、契約が解除されるようなことになった場合どうなるかについても書かれていますので、内容をよく確認するようにしましょう。

売買契約は、売主から購入者へ不動産の権利が移すための正式な契約になりますので、様々な書類が必要になりますので不備がないように揃えるようにしましょう。

必要な書類

・実印

※印鑑証明書 

※住所を確認できる書類

・日本に住所がない場合は代わりに署名証明書や宣誓供述書を提出してください

・パスポート

海外では、契約時に捺印ではなくサインをする国が多いですが、日本での契約になりますので、印鑑は必要です。印鑑を持っていない場合は購入するようにしてください。

日本に居住していない場合は、実印の登録や印鑑証明書は取得することができませんが、その代わりになる書類として、在日大使館で作成された“宣誓供述書”“サイン証明書”(署名証明書)があります。ただし、国によっては大使館・領事館で作成できないところがありますので、事前に確認するようにしましょう。

※日本に営業所を置いている場合は法務省で発行される、代表者事項証明書、履歴事項証明書等資格証明書を準備し、日本に営業所をおいていない場合は本国での公式な証明書とその翻訳文(翻訳者の署名捺印が必要)

もしくは、どちらも用意できない場合は宣誓供述書を用意しましょう。

※宣誓供述書とは

宣誓供述書とは宣誓供述を行う者が自発的に自分の知りえた事実を書き記し、大使館の係員や本国の公証人の面前でその記載内容が真実であることを宣誓したうえで署名し、宣誓を受ける権限を有する者が同一人であること、確かに本人の供述であることを確認の上、認証文や印章を添付したものです。

この他にも、日本語が分からない外国人の代わりに、代理人が手続きを行う場合や、本人が来日せずに代理人が購入手続きを行う場合は、委任状と代理人の身分証明、印鑑証明も必要になります。

⑤所有権の登記

売買契約と購入代金の支払いにより取引が成立すると、所有権が役所(法務局)に登記されます。

不動産登記が完了すると、所有者宛に 「登記識別情報通知書」が発行されます。

⑥不動産物件の引き渡し

契約が済んで、支払いが完結したら、いよいよ不動産物件の引き渡しとなり、やっと居住が可能になります。

不動産の引き渡し時には、不動産の所有権も移転しなければなりませんので、法務局で所有権移転登記を行います。この手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。

そして、外国人が日本の不動産を取得した場合は、外為法で、取得後20日以内に日本銀行の窓口から、財務省に報告しなければならないことになっています。

しかし、下記に該当する場合は報告不要です。

・既に日本に居住している外国人から不動産を購入した場合

・その親族や雇用されている従業員の居住用として購入する場合

・日本に居住していない外国人から、居住用ではない不動産を購入した場合

・事務所用として購入した場合

・非営利目的で不動産を購入した場合

⑦不動産を購入する時の支払い方法

前項③でも触れましたが、永住権を持っていない外国人は、日本の金融機関の住宅ローンを利用することはできないことも多いです。その場合は、現金を用意しなければならないことになりますが、それが無理な場合は、母国の銀行の住宅ローンが、海外の不動産購入に対応していないか調べてみましょう。

(1)海外送金を利用する場合

ほとんどの外国人は日本の銀行に口座を持っていないため、海外送金を利用するケースが多いです。

送金先は、ほとんどの場合、不動産業者の口座になります。大金を不動産業者に預けることになりますので、信頼できる不動産業者を選ぶことが大切です。

海外送金を利用する場合は、大きなお金が動きますので、きちんと支払明細書をもらうこと、そして、送金したら、きちんと送金されているか、領収書をもらうとともに、送金した銀行に外国為替計算書も貰うようにしましょう。

(2)小切手で支払う場合

不動産購入では、現金や海外送金の他に小切手で支払うことも可能です。

ただし、取り扱う金額が大きいですので、信用がおける“預金小切手”に限って使用可能とされている場合がほとんどです。

しかし、預金小切手は、すぐに現金化できないので、売主に好まれない場合があります。その場合は、それが元で契約がスムーズにいかなくなってしまいますので、海外送金で支払うことをおすすめします。

⑧財務大臣へ報告する

不動産取得後の20日以内に財務省へ事後報告をします。これは、外国人が日本の不動産を購入した場合、外国為替および外国貿易法(外為法)によって購入後に財務大臣へ報告することが義務付けられているためです。

外国人が不動産を日本で購入したら、税金はどうなる?

日本では、不動産を購入すると税金が課せられます。

外国人であっても、同様に税金が課せられますので、よく理解しておきましょう。

不動産を購入した時にかかる税金

(1)不動産取得税

不動産の購入代金に応じて税金が課せられます。

一般的に“取得した不動産の課税標準額×税率”という計算式で税金が求められます

(2)登録免許税

不動産を登記するときに課せられる税金です。通常は不動産課税標準額の20/1,000が税額になりますが、土地にかけられる登録免許税は、 令和3年3月31日まで税率が軽減されていて、15/1,000という税率が採用されます。

毎年支払わなければならない税金

(1)固定資産税

毎年1月1日にその不動産を所有している人に課せられる税金です。

(2)市区町村税

固定資産税と同様に、1月1日にその不動産を所有している人に課せられる、都市計画に使われる税金です。

※不動産標準額とは、市区町村で保管してある固定資産課税台帳に記載されている金額のことです。

(3)所得税

不動産を投資用に購入した場合は、その収入に応じて所得税が課せられます。所得税の税額は、毎年、確定申告をして、必要経費などを差し引いたうえで決定されます。

② 税金の納付方法

上記にご紹介した税金は、納付書が送付されてきますので、その納付書に記載されている期限までに、銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどで納付するようになっています。

しかし、日本に在住していない外国人の場合は納付することができませんので、そのような場合は納税管理人を決めて、代わりに納税してもらうことができます。納税管理人を設定すると、納付書も直接納税管理人の元に届けられるようになります。

納税代理人は、誰でも構いませんが、弁護士や会計士に依頼する人が多いです。信頼できる友人等がいない場合は、このような専門家に依頼すると良いでしょう。

まとめ

日本の不動産を外国人が購入する場合、どのような流れになるのかなどについて説明してきました。

基本的に、支払い方法以外は、日本人が購入する時と同じです。

ただし、日本語があまりできないために起こりえるトラブルに注意する必要があるでしょう。

日本に居住していない外国人が、日本の不動産を購入する場合は、悪条件の不動産を不当な金額で購入してしまったなどのトラブルも起こりやすいので、信頼できる不動産業者を選ぶことが何より大切です。

そして、日本人、もしくは日本に詳しい人を代理人に立てて、このようなトラブルを未然に防ぎましょう。

不動産取引の場合、専門用語などの知識も必要になってきますので、日本語があまりできない人にとって理解するのは難しいかもしれません。自信がない場合は専門業者へ依頼するようにしましょう

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この記事の監修者

柳本 良太
柳本 良太
行政書士・司法書士
行政書士法人やなぎグループ代表社員。
24歳のときに司法書士、行政書士、賃金業務取扱主任者の国家試験を同時に、同時合格。
大手資格予備校の専任講師をしながら、司法書士・行政書士等の法律関係の事務所を独立開業し、現在、司法書士・行政書士として、15年以上の経験を持つ。
一部上場企業 不動産会社、金融機関、介護事業者や専門士業会 等において、セミナーや講演・講師活動も行い、現在60講演以上の実績がある。
その他、法務省告示校の日本語学校の理事長を務め、不動産会社(外国人対応可能)の顧問を務める等、外国人関連産業において、多方面にて活躍中。

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